会談後、記者団の取材に応じた野田代表は「総じて言えることは、共に中道という立ち位置で、極めて噛み合った議論ができた。より広範な協力関係ができるのではないかと期待を持てる会談であった」と語りました。会談には安住淳幹事長も同席しました。
首班指名選挙への対応について野田代表は斉藤代表に「本当は野党の統一候補を決めて、公明党にお願いしなければいけないが、まだ決まっていない」と現状を報告した上で「まだ諦めていない。もし統一候補が決まったらぜひ協力をお願いする」と要請しました。1回目の投票については「斉藤さんと書いていただくことは決まっていると思うが、2回目はいろんな可能性があるという話だった」とし、野党統一候補が決まった場合の協力を求めたことを明らかにしました。
維新の会が求めている臨時国会中の定数削減について「国会議員の1割削減というのはあまりにも乱暴なやり方だ。与党だけで決める話じゃないし、比例だけ削るような話だが、各党と丁寧に協議していく問題ではないか」と指摘し、斉藤代表との認識が一致したことを明らかにしました。「(臨時国会で)いろんなテーマがある中で、そんなに拙速に決める話ではない。定数削減や将来の選挙制度改革を議論すること自体はいいが、臨時国会にはめてやる(臨時国会内で結論を出す)というやり方はおかしいという点で認識が一致した」と強調しました。
さらに「去年からずっと続いている政治資金規正法を決着させてから、政治改革のテーマに持っていくべきだということも同じ」との認識を示すとともに、臨時国会では、公明党と国民民主党が提出している、企業・団体献金の受け皿を規制する法案について「共同で提出して、成立させていくという基本姿勢で一致した」と説明し、「本当は廃止の立場だったが、具体的に政治改革を一歩、二歩でも進めるという意味においては廃止の方向だと思っているので協力していく」との方針を表明しました。「いわゆる裏金問題、不記載議員の問題についての解明も一緒にやっていこうということも一致した」とし、政治と金の法案については「公明党が自民党と決別した最大の理由だ。その最大の理由についてわれわれはもともと共感する立場なので、一緒にすぐに対応したい」と臨時国会での早期成立に意欲を示しました。
また経済政策についての認識のすり合わせも行われ、野田代表は「高市さんの言っている金融緩和と財政出動というのはデフレ脱却のためには一つの政策だったかもしれないが、今は明らかにインフレの時代で、特に食卓インフレのようなこの事態においては円安を助長し、インフレを助長することになる」と指摘。加えて「財政面においても相当金利の状態が心配な状況であり、積極財政・金融緩和とは違う経済政策を軸に考えていきたいということについても基本認識で一致した」と説明しました。
物価高対策については、政治空白によって何も講じられていないとして、複数の施策で合意したことを明らかにしました。給付付き税額控除については「石破執行部とも協議しているが、継続する」とし、食料品消費税ゼロ税率については「食料品を下げていくことについて基本認識は一致した。やはり生活困窮者に対する給付をしなければいけない。そのための知恵をどうするかについて、共に宿題として考えていこうとなった」と話しました。
選択的夫婦別姓について「これまで公明党は自民党との関係でいろいろ言動も制約されていたと思うが、その制約がなくなったので思い切って連携し法案成立に向けて努めていこうと合意した」と述べました。斉藤代表から制約が取れ思い切ってやるという気合を感じたとした上で「選択的夫婦別姓の中身について若干の差があるかもしれない。その調整をしてから一緒に対応しよう」「前国会からようやく議論の俎上(そじょう)に載せられるようになってきた。今度は採決もにらみながら対応していきたい」と、臨時国会での実現に向けた決意を表明しました。
外国人受け入れ政策についても「われわれはいわゆる多文化共生社会という言い方をしているが、例えば土地の問題などで規制がどうしても必要な問題もある。規制と共生をうまく整理しながら一緒に政策を考えていこう」と合意し、「外国人の受け入れ問題は、分断と対立を超えるという考え方の基本理念の下で対応していこうということで共通認識を確認することができた」と付け加えました。
政策面での連携について野田代表は「政調間でお互いに連携し、各部門間でも切磋琢磨(せっさたくま)していこうということになった。うちの方はむしろ若手が多く、公明党さんは政府の中での経験者もいるので、そうした経験などについても教えていただくような形で連携を深めていきたい」と話しました。共通の会議体の設置については「今日はまだ突っ込んだ話ではないが、連携していくことについて合意ができた」「政調会長間だけでなく、各部門間での連携を深めていくことは将来的には自民党と公明党がやってきたようなことに近づいていくのではないか」との見通しを示しました。選挙協力については「この短時間で個別の選挙区の話まではしていない。いつ解散総選挙になるか分からないので、いろんな調整、準備もしていきたい」と答えました。
斉藤代表との関係について、1993年の同期当選である野田代表は「その時も政治改革が最大のテーマであった。住専国会の時は一緒に座り込みをした同志。中道で立ち位置が近いと言ったが、ピケを張って座っている位置も近かった」と当時を振り返り、「いろんな党首会談をやってきたが、近年になく噛み合った議論ができたと思っている。いろんな意味で共通理解できる政策課題が多い。この国会でもその連携ができると思うし、その先も含めていい連携ができるパートナーだと思った」と述べ、今後の連携に向け意欲を示しました。
また、本日17日に逝去した村山富市元首相について野田代表は「ちょうど私も政治家になった中で一番驚いた政権だったが、連立政権でご苦労されながら一定期間、内閣総理大臣を務められた。内閣総理大臣の重圧や自分の応援団とのコミュニケーションの問題など非常にご苦労があったと思うが、そういうものをしっかりとこなされてきたことには敬意を表したい」「101歳、天寿を全うされたと思う。先輩の首相としてリスペクトの念も持っていたので、改めて心から哀悼の誠をささげたい」と語りました。
