小川淳也幹事長は酒井なつみ衆院議員とともに、熊本県八代市を中心に発生した線状降水帯による豪雨被害の現場を視察しました。県連関係者や農協関係者の案内で、被害を受けたトマト農家やい草農家を訪れ、現地の実情と課題について説明を受けました。

 熊本県によると、今回の豪雨で県内の住宅浸水被害は床上1,940戸、床下2,165戸の計4,105戸に上り、そのうち八代市だけで1,537戸が浸水しました。農林水産業関連の被害は151億円に達し、農業施設や農作物、畜産、漁業にまで広がっています。

S__500645902_0.jpg

 視察先のトマト農家からは、約3万6千本の苗が冠水でほぼ全滅し、残った苗も全体の8%程度にとどまる状況が報告されました。さらにポンプやボイラーといった設備も冠水し、「ハウス共済では苗や収穫前の作物は補償対象外。収入保険は掛け金が高く加入率が低い。出荷できない分の補償がなく、収穫が1カ月以上遅れれば市場価格が下がり収入が激減する」との声が上がり、制度上の課題が浮き彫りとなりました。熊本県は全国有数のトマト産地で、出荷量は例年約13万トン(全国シェア約19%)と全国1位を誇ります。農協関係者は「冬場の供給を支える大産地の被害は全国の相場や消費者の食卓にも影響する」と懸念を示しましたが、農協が追加確保した50万本の苗では十分ではないとされています。

浸水のライン.jpg

 い草農家では、収穫後に乾燥・保管していた原料が長時間冠水し、約250束が使用不能となる深刻な被害が確認されました。い草は年に一度しか収穫できず、次回は来年11月となるため、長期にわたる収入途絶が懸念されています。倉庫や乾燥機の冠水被害もあり、い草と同様に全国シェア1位を占める畳表(たたみおもて、畳の表面を覆うゴザ部分)の生産にも大きな影響が見込まれます。

説明をきく.jpg

 その後の立憲民主党熊本県連との意見交換では、要望書が手交されました。そこには、線状降水帯災害に特化した補助基準の創設、被災者生活再建支援の拡充や無利子融資制度の導入、自家用車再購入への支援、避難所環境の改善、災害対策基金の新設、復旧作業に必要な人員確保や自衛隊派遣の柔軟化などが盛り込まれています。

 小川幹事長は「これまでの延長線上の災害対応では限界がある。公共事業中心から被災農家や被災者生活再建への重点移行が必要であり、党として対策を強化していきたい」と述べました。

 立憲民主党は、被災地の声を踏まえ、農業インフラと食料供給の安定を守る観点からも、政府に対して必要な制度改善と迅速な支援を求めてまいります。

意見交換出席者と熊本県連からの要望.pdf