ガザにおける危機的な人道状況の即時改善と恒久的な停戦のため
パレスチナ国家承認の表明を求める(コメント)

外交・安保戦略PT会長 岡田克也
ネクスト外務大臣 武正公一

 イスラエル・パレスチナでの紛争は依然として継続しており、とりわけガザ地区における人道状況は危機的であり、特に、イスラエルが国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止した上に、支援物資の搬入制限や支援物資の配給所に対する攻撃を行っているため、支援物資が届かず、連日多くの子どもを含む一般市民が飢えにより亡くなっています。国連は最悪な飢餓のシナリオが進行しており、大規模な犠牲者が出る事態を回避するため即座に行動を起こす必要があると訴えています。トランプ大統領もガザに本当の飢餓が起きていると認め、食料センターを他国とも協力して設置すると発言しました。

 このようなガザの深刻な人道危機を背景に、フランスはパレスチナを9月の国連総会で国家承認する方針を明らかにし、「2国家解決」についての国際会議を国連本部で呼びかけました。イギリスも条件付きではありますが、パレスチナを国家承認する可能性を表明しました。続いてカナダも国家承認の意向を明らかにしました。我が国も、これまで築いてきた中東との関係に基づいて、主体的にパレスチナ情勢に関与し、パレスチナにおける人道支援の継続と停戦の実現にあらゆる外交努力を行うべきです。

 日本も、イスラエルとパレスチナが共存を目指す「2国家解決」、「ヨルダン川西岸の入植は認めない」という立場を維持してきました。イスラエルに即時停戦を強く促し、そしてパレスチナにおける人道支援を、国連やNGOによる緊急的な飢餓対策活動を含み、全面的に受け入れるよう圧力をかけるために、また、パレスチナの独立国家樹立と恒久的な和平を後押しするために、パレスチナを国家承認することを早期に検討すべきです。

 改めて、イスラエルにガザに対する攻撃の即時停止、ハマスには全ての人質の一日も早い解放を求め、イスラエル、ハマス双方が改めて停戦合意に至り、ガザの壊滅的な人道危機の回避に向け、日本政府が主体的に行動することを強く求めます。