立憲民主党新型コロナウイルス感染症ワクチン接種に関する課題検討プロジェクトチーム(PT)は8日、党でとりまとめた「新型コロナウイルス感染症ワクチン接種に関する第一次提言」と「すべての介護・福祉従事者をワクチンの優先接種対象とするよう求める緊急要請」を政府でワクチン接種を担当する河野太郎大臣に手交しました。中島克仁、逢坂誠二、重徳和彦 各衆院議員、岸真紀子参院議員が出席しました。

 「新型コロナウイルス感染症ワクチン接種に関する第一次提言提言」のポイントは以下のとおりです。

基本的考え方
 新型コロナウイルス感染症ワクチン接種を希望する方々が、安心・安全に、また円滑に接種が可能となるよう、(1)ワクチンそのものの正確な情報の迅速な提供・公表、(2)地域の事情に配慮した弾力性・柔軟性ある接種体制の構築、(3)差別や偏見など社会的課題に十分な対策を講じることが必要である。

(1)国民への正確な情報提供
◆ファイザー製ワクチンの有効性・安全性の最新情報について、迅速に国民に公開する。
◆今後承認が見込まれるアストラゼネカ製・モデルナ製ワクチン等に関しても有効性・安全性情報を迅速に示すとともに、接種までのプロセスを明確に示す。

(2)親身で丁寧かつユニバーサルな対応
◆障がい者や外国人等に対し、相談窓口の充実や予約や案内、接種自体について、親身で丁寧かつユニバーサルな対応をはかる。

(3)優先接種の拡充―在宅系サービスの介護従事者を対象に
◆重症化リスクが高い方々を対象に、あるいはクラスターの発生しやすい環境で支援を行っている介護や障がい者施設の従事者について、高齢者と同時期の優先接種の対象に加える。
◆デイサービスや訪問介護、ショートステイ等の在宅系サービス従事者も優先接種の対象に含める。

(4)自治体へ責任を持って情報提供
◆ワクチン供給量とその時期に関する情報は、自治体にとって人員と会場の確保など実施計画のための基礎となることから、責任を持って具体的な情報を適宜適切に提供する。
◆政府内の意思統一と連携の強化をはかる。

(5)地域の実情や特性を活かしたスキームを
◆多様な地域の実情や地域特性を踏まえ、接種順序も含めて自治体の裁量で柔軟にワクチン接種を実施できるよう体制を整備する。

(6)国の責任でしっかり全額財政負担
◆現状の国の予算では不足が見込まれることから、ワクチン接種体制を確実に整備するには、自治体の財政上の懸念を払しょくする必要があり、ワクチン接種にかかる全ての経費を確実に全額国の負担とする。

(7)人員確保に全力
◆接種体制構築に必要な人員の確保のため、国は、責任を持って、日本医師会や四病院団体協議会、日本看護協会等の関係団体と、より一層の協議・調整を行うとともに、具体的な支援を要請し、傘下団体への周知・徹底をはかる。
◆1回あたりの接種費用を引き上げるとともに、接種に協力する医療機関や医療従事者に対して、協力金等の支給や減収補填などの支援を講ずる。

(8)ワクチン接種に遅滞・混乱が生じないようなシステムを
◆ワクチン接種記録の管理にマイナンバーを活用することは一概に否定されるものではないが、今回は厚生労働省と自治体が接種台帳とV-SYSの活用を前提に、非常に繁忙な体制構築を進めていることから、これ以上の新システムの導入は、かえって混乱を招く恐れがある。緊急を要する今回のワクチン接種にはマイナンバーの使用は見送る。

 「すべての介護・福祉従事者をワクチンの優先接種対象とするよう求める緊急要請」の内容は以下の2点です。

1.重症化リスクが高い方々を対象に、あるいはクラスターの発生しやすい環境で支援を行っている介護や障がい者施設の従事者について、高齢者と同時期の優先接種の対象に加えること。

2.3月3日の通知を撤回し、改めて、すべての介護・福祉従事者を新型コロナウイルスワクチンの優先接種対象にするよう働きかけること。

新型コロナウイルス感染症ワクチン接種に関する第一次提言.pdf
新型コロナウイルス感染症ワクチン接種に関する第一次提言(ポイント).pdf
すべての介護・福祉従事者をワクチンの優先接種対象とするよう求める緊急要請.pdf

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 出席した議員は終了後、記者団の取材に応じました。PT座長の中島議員は、提言の9項目のうち、早急に対応すべき8項目のポイントを示したと説明しました。また、高齢者の優先接種と同時期に介護・障害福祉従事者も優先接種の対応に加えるべきと改めて主張していたことについて、「河野大臣からは非常に前向きに『その通りだ』という趣旨の発言があった」と報告しました。

 逢坂議員は、「新たに作るシステム、これにトラブルがあると困る話。マイナンバーと紐づける事は自治体から相当不安があがっているので、今回見合わせるべきだと話した」と述べました。また、「自治体で悩んでいるのは、お金が全額来るのかということに尽きる」と述べ、「基準の範囲で」全額ではなく、「かかったお金を」全額にするように強く要請したと説明しました。

 重徳議員は、「接種のカギとなる医師会との関係をきちんと整えてほしいと伝えた」と述べ、国が医師会に協力してもらえるようにすべきと河野大臣に要請したと報告しました。

 岸議員は、「これから先、接種についてうまくいくには、システムが大きな問題になるので見送るべきと強く言った。しかし、やはりこのシステムが無いとかえって困ると発言があった。安定したシステムの運用を求める」と述べました。

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https://cdp-japan.jp/news/20210308_0897