枝野幸男代表は5日国会内で年頭の記者会見を開き、冒頭、(1)新年にあたって(2)緊急事態宣言・新型インフルエンザ特措法改正(3)東日本大震災から10年――について発言しました。

新年にあたって

 枝野代表は冒頭、「本来であれば心新たに、新しい年の抱負などをお話したいところでありますが」と前置きした上で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が年末年始にかけても止まらないなか、国民生活、医療の提供体制など、命と暮らしを守るという観点から大変厳しい状況にあると述べました。

 昨年12月27日にCOVID-19で羽田雄一郎参院議員が逝去されたことに触れ、「大事な同志である羽田雄一郎参院事長をCOVID-19で失ったことは大変な悲しみであり衝撃。個人的にも年齢も近いこともあって、家族ぐるみでお付き合いをさせていただいた。羽田さんの急逝は、公私にわたって本当に痛恨の極みだ」とあらためて哀悼の意を表明。「残念ながら新年をこうした厳しいつらい環境で迎えることになったが、政治が立ち止まることは許されない」と続け、「何よりもCOVID-19の拡大を抑え、国民生活の安定を図ることは、政治の最大のそして、喫緊の課題。まずはこれに最優先で全力を挙げて取り組んでまいりたい」と力を込めました。

緊急事態宣言・新型インフルエンザ特措法改正

 次に、菅総理が4日、首都圏1都3県への緊急事態宣言を発令する方針に踏み切ったこと、あわせて新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案の通常国会提出も表明したことには、「政府の遅きに失した対策が招いた感染拡大と言わざるを得ない。そうした意味では現状は人災と言わざるを得ないが、それでも一歩前進した」と評価。一方で、「諸手を挙げて賛成というわけにはいかない。中身が重要だ」と述べ、国民の皆さんに少しでも安心感を持っていただくためには、昨年の緊急事態宣言発令時と同様、菅総理自身が説明することだと、総理のリーダーシップに期待を寄せました。

 その上で、緊急事態宣言の発令に当たっては、飲食店等の営業時間の短縮要請については十分な損失補償とセットであること、宣言の対象地域は要請のあった1都3県に限らず医療崩壊の懸念のある地域も対象とすること、安心できる学業機会の確保、特に受験機会の保障など、受験生の安心に向けた誠実かつスピーディーな対応、生活困窮者に対する速やかな支援などについて十分な配慮を求めていきたいと述べました。

 新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正をめぐっては、立憲民主党など野党は昨年の12月2日、臨時国会開会中に議員立法を国会に提出、国会会期を延長して議論を進めるべきだと求めていたとして、1月18日開会の通常国会でようやく政府案が出てくることには「大変遅きに失したと言わざるを得ない」と政府・与党の対応を問題視。「一刻も早い改正の実現、そして改正法に基づく実効ある対策の実施が欠かせない。われわれは柔軟な修正協議に応じたいと従来から申し上げてきた。対決法案にするのではなく、すでに提出している(われわれの)法案をベースに、(国会開会に)先立って実質的な議論の機会を十分に確保し、円満な形で進めていくことを強く求めていきたい」と述べました。

東日本大震災から10年

 最後に、今年3月で東日本大震災と原発事故から10年を迎えることに言及。「津波被災地を中心にハード面での復興はかなり進んでいると受けとめている。一方で、昨年10月の時点で、避難生活を送っていらっしゃる方々がいまだ4万3千人と、被災前の生活を取り戻したとは到底言えない。特に、福島などの原発被災地では、廃炉計画にも遅れが出ていて、いわゆる『汚染水』の処理にあたって政府と地元とのコミュニケーションが不十分であり、被災地の不安が軽減されていないという実態も明らかになっている」との認識を示し、「発災当時、官房長官という政府の危機管理の要役を務めていた、またその後、経済産業大臣という原子力政策の担当をしてきた。私にとって、東日本大震災からの復興と原発事故からの復興が個人として最大の政治テーマでもあり、今後も責任を持って取り組んでいきたい。特にこの10年で不十分であった原発事故からの復旧・復興を加速させるきっかけにしなければいけない。間違っても風化をさせる区切りになってはいけないという強い思いで臨んでいく」とあらためて決意を表明しました。

 また、12年前の丑年、2009年に政権交代があったとして、「政権運営の経験不足や、あるいは政権から下野した以降の力不足など、さまざまな反省点をしっかりと踏まえ、現状の残念ながら右往左往している政府に代わって機能する政府をしっかりと作っていく政権の選択肢となり、このCOVID-19による国家的な危機から社会を守るということに向けて今年も1年、全力を挙げて取り組んでまいりたい」と述べ、冒頭発言を締めくくりました。

記者との主なやりとり

 記者から、同日の東京の感染者数が1200人余りと発表されたことの受け止め、政府が提出予定の新型インフル特措法改正案への対応について問われると、「衝撃的な数字だ。この状況に対しては、相当強いブレーキを踏まないと新規感染者の数を急速に減少させ、そのことによって医療の崩壊状況を立て直すことはできないと思っている。さらに強いブレーキで感染拡大を大幅に減らしていくことを求めていきたい」「特措法については、とにかく補償を十分に行うことが何よりも重要なポイントだと思っている。いずれにしても、特措法に基づく緊急事態ということになれば、現行法であっても事実上の強制力は大変強い。それだけに十分な補償がない状況では、倒産・廃業か、それとも、その要請に従わないか、という究極の苦しい選択をこれまでも事業関係者の皆さんには迫ってきた。これは本来許されることではない。補償はセットということと、その補償の水準が一番の争点だと思っている」とそれぞれ発言。特に補償の規模や範囲については、「事業の継続が可能な補償をしなければならない。つまり営業短縮や営業停止の要請に応じることで事業を継続できなくなるようなことを迫ることはあってはならない。したがって、少なくとも最低限以上のものが補償されなければならず、これについては、直接営業の短縮などを求められる事業者だけではなく、そこに対する納入業者なども含めて対象にしなければならない」「確かに何人もで会食をする、特に酒を伴う会食が、感染を広げている要因の1つであることは間違いないと思うが、緊急事態宣言下でも、例えば医療や介護、交通などエッセンシャルサービスに従事される方が仕事で遅くなり1人で外食をされるというようなケース、そうした方の夕食などの機会を全部一律に止めることが本当にいいのか。いわゆる個食、1人で外食をされるケースについては感染拡大の要因になっているエビデンスはないのではないか。そうしたところはきめの細かい具体的な対応を求めていきたい」などと強調しました。

 野党第1党として18日からの通常国会にどう臨むかとの質問には、「短期的には足元のCOVID-19への対応について、前例にとらわれることなく、一歩でも二歩でも前進をさせることに向けて最大限の努力をしていきたい。まずはこの当面の課題に全力で取り組むことが今の国家的な危機の状況における責任だ」と表明。その上で、「これを一定程度抑制できてきた状況においては、例えば医療や介護などを中心として、ベーシックサービス、エッセンシャルワークを切り捨ててきた、これまでの20年から30年にわたる日本の政治と社会のあり方や、貧困困窮の問題も、非正規雇用に大きくシフトしてきた雇用のあり方そのものが今問われている。私たちはここを変えていく。ベーシックサービスを充実させ、安定的な雇用を取り戻す。そのことで支え合う、分かち合う社会に変えていかないと、こうした危機に非常にもろいという社会の本質的な問題をしっかりと論戦していきたい」と語りました。