立憲民主党厚生労働部会の長妻昭部会長はじめ、山井和則、川内博史、早稲田夕季各衆院議員、社民党の福島みずほ党首は25日、厚生労働省に田村憲久厚生労働大臣を訪ね、「年末年始のコロナの医療、検査体制の整備と困窮者対策の緊急要望」を行いました。年末年始の検査・医療提供体制の確保に不安が残る状況であること、自治体が閉庁となり、支援を必要とする人に支援が届かず多くの人が路頭に迷うことが危惧されることから、そうした事態を防ぐために申し入れしました(写真上は、左から早稲田、山井、長妻各議員、田村厚労大臣、福島、川内両議員)。

 要望事項は以下のとおりです。
1.医療従事者の負担に配慮しつつ、年末年始において、発熱等の症状がある患者や濃厚接触者などが必要な検査・医療を受けられる体制を確保すること。その際、年末年始に検査・診療を実施した医療機関等に対しては都道府県から協力金を支給することとし、国は都道府県に必要な財政的支援(新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の増額)を行うこと。また、国は検査・医療体制が確保されていることを検証し、その結果を国民に公表するとともに、不十分な地域がある場合には必要な支援を行うこと。
※東京都では、年末年始に診療・検査を行う医療機関に対し4時間当たり15万円、入院患者を受け入れる医療機関に対し、患者1人1日あたり、重症の患者の場合30万円、軽症・中等症の患者の場合7万円の協力金を支給。調剤薬局へも1日あたり3万円を支給。
2.全ての都道府県における年末年始に受診・検査可能な医療機関あるいは連絡可能な相談窓口等について、電話番号や名称を含め、分かりやすく国民に周知すること。
3.「第2波」「第3波」に対応した医療従事者等に対する慰労金の支給(12月16日に要望)などの処遇改善について、年内に実施を決断すること。
4.自治体の職員等の負担に配慮しつつ、生活に困窮する方々が年末年始に相談し、適切な支援を受けることができる体制を各自治体ごとに確保すること。特に、住まいを失っている方や食事に困っている方に対しては、感染防止対策の取られた緊急的な一時宿泊場所や食料を提供できる体制を確保すること。また、こうした支援策に関する情報が支援を必要とする人に  確実に届くよう様々な手段を用い周知すること。国は体制が確保されていることを検証し、その結果を国民に公表するとともに、不十分な地域がある場合には必要な支援を行うこと。
5.田村厚生労働大臣が自ら会見で生活保護の相談を促すとともに、生活保護の申請があった時は、積極的かつ速やかに保護を行うよう、自治体に促すこと。また、緊急度が高い場合は、 生活保護法第25条の職権保護を開始するよう改めて自治体に促すこと。
6.田村厚生労働大臣が会見で労働者に対して休業支援金の申請を促すこと。また、事業主が従業員に(ホテルやホテルスタッフの紹介会社が配膳スタッフに、など)一斉メール等で休業支援金の申請を促すよう、事業主に要請すること。さらに、休業支援金の対象に大企業の労働者を加えること。
7.コロナ禍の中で心身に過重な負担を抱える方が増加しており、こうした方々が自殺に追い込まれることがないよう、自殺対策に万全を期すこと。
8.新型コロナウイルスの変異種が確認された国からの入国や航空便の受け入れを停止するために政府内で検討を急ぐこと。

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 申し入れ終了後に記者団からの取材に応じました。長妻議員は、「年末年始に医療診断、検査体制をしているところに資金援助している自治体があるが、これを国が全面的にバックアップしてほしい。地域が自分たちの財源努力ではなくて、どの病院が開いていて、どこが閉まってどういう体制なのか国民に周知して、不足している地域があれば厚労省がバックアップする。また、年末年始に生活困窮者の方が、窓口が無く路頭に迷わないようにいろいろな手当て、サポートをしてほしいというようなことを要請した」と今回の申し入れの趣旨を説明しました。

 山井議員は、「医療従事者へ慰労金20万円の支給をお願いしたら、田村大臣は新型コロナウイルスによる重症者向け病床1ベッドあたり1500万円、それ以外の場合に450万円を支給すると発表した。そのお金は人件費にも使えるが、4割もボーナスが下がる看護師さんもいる中で病院に使途を委ねるのではなく、20万円を明確にコロナを看ている方々へ直接支給すべきと伝えた」とCOVID-19患者を受け入れている医療従事者らへの慰労金を直接支給することを求めました。

 早稲田議員は、看護師が集まらないため年末年始に開けない病院が多いと触れ、「労働環境を改善してぜひ看護師さんを集めていただいて、患者さんを受け入れるようにしてほしい」と述べました。また、女性の自殺対策も「しっかり年末年始に相談を受けられるように国として民間支援をしてほしい」と求めました。

 川内議員は、「年末年始、東京都においても医療提供体制は7分の1あるいは8分の1になるということで、相談センターも診療を受けられるということですが非常に心配される。政府として十分な対応をしてもらいたいとお願いしてきた」と従来より少なくなる年末年始の医療体制を懸念しました。