枝野幸男代表は4日、島根県を訪れ、島根県連代表で1区総支部長の亀井亜紀子衆院議員と2区の山本誉総支部長とともに松江市で開かれた時局講演会「枝野幸男 ビジョンを語る!!」、出雲市で開かれた街頭演説会に参加しました。新型コロナウイルス感染予防のため、枝野代表と随行者はワクチン接種2回を完了し、PCR検査で陰性を確認してから島根県入りし、会場では三密を避ける等の対策を講じて実施しました。

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 枝野代表は新型コロナウイルス感染症で依然として医療がひっ迫し、多くの人の命や暮らしが脅かされている中で菅総理が事実上の退陣を表明したことについて「こんな時に政治空白をつくるのか」と総選挙のためにただでさえ1カ月は政治空白ができてしまうのに、その前に約1カ月をかけて総裁選を実施し、さらなる政治空白を生じさせようとしている自民党の姿勢を批判しました。菅総理は退陣を表明し求心力が落ち事実上機能しない状態なので、実効性のあるコロナ対策を実施できるのか疑問を呈しました。

 コロナ対策について、ここ2,3カ月の菅内閣の問題ではなく、安倍内閣の初動の対応から間違ってきたと指摘しました。それに対し、立憲民主党は(1)無症状の人を含めた徹底した検査(2)来日した人を10日間ホテルで隔離すること等の水際対策の強化(3)自粛と補償はセットにすること──を具体的に提案し、法案まで出してきたが、政府与党は受け入れず、自民党、公明党全体で無視してきたと振り返りました。自民党内から「野党の言っていることは正しい、聞け」と政府に進言することもなかったのに、今さら野党が提案してきたことをやると言われても、「誰が信じられるか。1年半うまくいかなかった政権がここからうまくできるという期待をしていいのだろうか」と疑問を呈しました。

 「私たち、そして私には準備ができている。感染を封じ込め、事業を守り、生活困窮者を支援するために何本も法案を国会に提出している」と述べ、政権を取ったらすぐにでも法律を通して、持続化給付金の再支給をおこなう考えを示しました。そして「危機管理は私に任せてください。『こんな体たらくなことはやりませんでした』と胸を張って申し上げたい」と断言しました。10年前の東日本大震災と原発事故の時に官房長官を務めて危機管理に当たっていた経験から「そもそもコロナ対応で官房長官が前面に出て来ていないのがおかしい。危機管理のチームが官房長官の下にいる。だから、東日本大震災の時は、(官房長官の)私が出て行って記者会見をした。すべての情報を官房長官に集めて、各役所がばらばらにならないように調整して、場合によっては即断即決で調整するという危機管理の当たり前をやっただけだ。もちろん至らない点もたくさんあり、福島の皆さんには原発事故の対応で大変ご苦労をおかけし、もっとできることがなかったかと忸怩(じくじ)たる思いがある。だけど、こんな大臣ごとにばらばらなことを言って、野党の意見も聞かないで。震災当時は、何度も党首会談をやったり、与野党の政策責任者の会談をやったりして、よい案は取り入れた。今の自民党よりは100倍良い危機管理をやったという自負が私にはある」と言い切りました。

 その経験を通じて、「危機管理は事前の備えが大事だと感じた。この国のあらゆる制度が、いざという時の国民の暮らしと命を守る仕組みになっていないと痛感した。10年前に官房長官を退官し、官邸を去る際、いずれここに戻って来て、東日本大震災震災の教訓を踏まえて危機にしっかりと対応できる政府をつくる。命と暮らしを守れる政府をつくる」と決意し、10年間準備を積み重ねてきたことを明かし、「私に任せてください。危機なのだから、政府、民間の総力を上げて感染を封じ込め、命と暮らしを守る具体案を示してきている。覚悟も準備もできている。ぜひ私、私たちにやらせていただきたい」と重ねて主張しました。

 次に、自民党政治は大企業や富裕層をより豊かにし、競争を促し、競争についてこられない人や地域は切り捨てて行った結果、一部の大企業はより強くなり、大金持ちはさらに豊かになったが、ここ島根県でも大部分の人は豊かになっておらず、農業、水産業も良くなっていないのだから、「結果は出ているじゃないですか。新自由主義と呼ばれている、競争すれば世の中よくなるのだという政治の責任放棄をこの20年、30年、自民党は続けてきた。だからコロナの危機に対応できない」と論じました。

 これに対し、「私たちは、競争や自己責任ではなくて、支え合う社会。『みんなが勝手に支え合ってください』では自己責任なので、政治がしっかりと支える役割を果たす社会を取り戻していきたい。これからの日本社会は、日本全国が人口減少、高齢化・少子化で普通に放っておいたらリスクは広がる。みんなが不安ばかり大きくなっていく。リスクが大きくなればチャレンジできなくなる。どんどん社会は沈んでいくし、既にそうなっているかもしれない。チャレンジできる社会をつくりましょう」と主張しました。

 また、日本の経済を立て直すためには所得の再分配と安心が必要であると主張しました。80年代のレーガン米大統領、サッチャー英首相、中曽根総理の時代から規制緩和、競争主義をしてきているが、バイデン米大統領が所得の再分配政策を始めたように、30年前と同じことを続けている自民党は時代遅れだと批判しました。その上で、「自民党は誰が総裁になっても変わらない。だから政権を変えましょう」と訴えました。

 さらに、政権を獲得したとしても、コロナ禍のまっただ中にあり、社会の内実はかなり崩れているので、翌日にバラ色に変わることはないと断った上で、「少しでも希望が見えてくる方向に方向転換していきませんか。ラジカルに一気に物事を変えていくということではない。間違いなく地方、格差の是正を重視していく。間違いなく、医療、介護、保育や私たちが生きていく上で必要な基礎的なサービスを充実させていくことを重視していく。そして1次産業を単なる金儲けとして、競争で切り捨てず、緑、自然、空気、水を守っている多面的な機能をしっかりと国が評価して、そこに維持できるようなお金を注ぎ込む。こういう方向に私たちは確実に一歩踏み出す。だから私たちに力を与えてください」と訴えました。

 過去数回の選挙で自民党の比例代表の獲得票はほぼ変わっておらず、勝敗はこちら側にかかっていると説明した上で、自民党が強い島根でも「非自民勢力から2人出せる可能性が十分にある」と言及し、「ぜひあなたの力を貸して下さい」と呼びかけて講演を終えました。

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 亀井議員は、「日の当たる島根、一緒に進める新しい国づくり」というスローガンを掲げ、それに合わせて「国づくり八策」を打ち出したと報告しました。その政策の大きな方向性は公助を立て直そうということだとし、「『官から民へ』で公的サービスを縮小してきたが、このコロナ禍にあっても公的医療機関の再編統合の話は止まらない。一体どこまで行ったら人口が少ないところで公的サービスがなくなることが止まるのかと大きな疑問がある。そもそも公的サービスは、ビジネスではなくて、儲からなくても必要であれば税金を集めてサービスをおこなうことなので、論理として違うはず。そこをもう一度問い直し、国に対しておかしいではないかと声を上げるべき」との考えを示しました。

 また、有権者から一番問われる原発について「私は原発はなくしたい」と表明した上で、「国策で始めたわけだから、国策で終わらせる。この終わらせる道筋をつけたいと思っている」と語り、自然エネルギー推進を含め、そのプロセスについて提案しました。さらに、海の自然再生にも取り組みたいと話しました。亀井議員は「10年先を見て政治をしましょう。どうぞ皆さまのお力をお貸しください」と訴えました。

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 山本総支部長は、コロナ対策について「大規模接種施設を設置し、24時間体制の医療体制を整備する。これをやらなければコロナは収束に向かわないと思う。十分な補償をした上で、相当厳しい措置ではあるが、ロックダウンのようなことも思い切ってやることを真剣に議論する。あまりにも人の命が今、軽んじられている。私はこうした世の中を何としても変えていかねばならないと思っている」と述べました。

 また、森友学園の国有地土地取引の決裁文書の改ざんを強要されて自死した赤木俊夫さんは財務局に転職する前に旧国鉄にいたことに触れ、「本当に真面目で、責任感が強くて、一生懸命家族を思っていた。そういう人が自分から命を絶たなければならないようなことを絶対に許してはならない。それをさせたのは今の政府であり、今の政治だと思う」と非難し、「こうしたことを1日でも早く終わらせなければならない」と訴えました。

 さらに、政策についてはさまざまあるが、「その土台として平和がなければならない。戦後70年間余り、平和があったからこそ経済成長があった」と語り、憲法9条は変えてはいけないと思っていると話しました。そして「人に寄り添う、人を大切にする政治を立憲民主党の一員としてつくっていきたい。その思いで、この島根2区から日本を変えるのだという思いで、全力で頑張っていく」と決意を述べました。

 演説会の司会進行は白石恵子県議会議員が務めました。

 次に、島根2区の出雲市に移って街頭演説をおこないました。

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 山本総支部長は、2区では若い人がどんどん流出して人口減少が進んでいることを取り上げ、その背景には自公政権の労働改革や規制緩和によって非正規が増え、賃金が抑制され、可処分所得が下がっていることがあり、その一方で、富裕層はますます豊かになっていると指摘しました。「そんな政治を一日も早く終わらせたい」思いで決意したと述べました。農家の後継者問題、米も買取価格の低下を取り上げ「日本を支えているのは地方の農林水産業の皆さんだ。こうした方々がどんどん職場を失い、離れて行っている。地方に暮らしていても、農業に携わっていても暮らしていける、子育てができる環境をつくり、支援をしていかなければならない」と訴えました。政党ポスターの「変えよう。」の文言には大きく、深い意味が込められているとし「今の政治を変えよう。暮らしを変えよう。私たちは本当に変えていこう。こうした強い思いをもって立憲民主党は衆院選挙に臨んでいく」と訴えました。

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 亀井議員は、初当選した2007年の参院選挙で小泉構造改革について「『官から民へ』、痛みを伴う改革は一体いつまで痛いんだろうかと。一体それはいつ終わるんだろうか」と訴えたと振り返り、それから14年たったが「もっと痛くないですか。規制緩和、効率化を進めてどこまで行くんだろうと思っている。できるだけ民間に委託して、人口が少なくなればまとめてしまう。これ以上進めたら日本には人が住めなくなる」と批判しました。

 新型コロナ感染症について「まさに公助が必要なのに、自宅療養を強いられてしまう。まず「自助」だと総理が言う。おかしいと思いませんか。こういう中で、公立病院、公的医療機関の再編統合問題は全く方向転換しない。本当は公助を立て直さなければいけない。保健所の数も平成のはじめに比べて今は約半減していて、そこにコロナが襲ってきた。平時に余裕がないと、緊急時には対応できない」と話し、公的病院の再編統合については、採算性だけで判断するのではなく、もう一度考え直すべきだと訴えました。

 自治体の統合による弊害も出てきていると指摘し、鉄道など交通機関の維持についても訴えました。そして、「『官から民へ』はもう終わりにして、島根でも人が安心して住めるようにする。公的サービスを取り戻すために、一緒に戦いましょう。一緒に変えましょう」と訴えて演説を締めくくりました。

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 枝野代表は、新型コロナ感染症で医療がひっ迫して自宅に放置されている人がたくさんいること、飲食業にとどまらず幅広い業種の事業者が倒産・廃業に追い込まれていること、仕事を失い生活に困窮している人がたくさんいることを挙げ「そんな中で1カ月も政治空白をつくる。内部の権力闘争に1カ月もかかる。それで何が変わるのか。今の日本の民主主義が壊れている」と訴えました。

 自民党が進めてきた民営化、競争の促進はもう時代遅れだとし「だから変えましょう。私たちは何をどう変えていけばいいのか準備は整っている。医療、子育て、一次産業、そして地方の公共交通を。どこに住んでいても暮らし続けていかれる社会をつくるためにしっかり投資をしていく。そこに採算性や競争力だけでない価値をしっかりと国が、政治が後押しをしていく。そういう社会をつくろうではありませんか」と訴えました。

 「国民の意識はもう変わっている。私たちも頑張らなければならない。最後のもう一押しがほしい。私たちに任せてください。私たちは準備ができている。必ずこの国のあり方、社会のあり方、コロナ対策を今より比べ物にならないように変えるため、大きな一歩を踏み出す」と訴え、「変える主役はあなたです」と支援を呼びかけました。

 司会進行は県連幹事長の角智子県議会議員が務めました。

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