枝野幸男代表は16日、国会内で記者団の取材に応じ、記者からの質問に答えました。

Q:菅内閣が発足して1年。デジタル庁設置や不妊治療等の成果があったと菅総理が表明したことへの受け止めを

 いつも申し上げておりますが、政治家は、特にリーダーは自分が何をやりたいかではなくて、その時々、社会、国民に何を求めれられているか、何をしなければならないかということで仕事をしなければならないと思っています。1年前も今も、そしてこれから当分の間も、間違いなくコロナから国民の命と暮らしを守ることが圧倒的にリーダーがやらなければならない政治の仕事であると思っています。残念ながらこの1番の役割を果たしてこれなかった。私たちもそれを果たさせるまで迫り切ることができなかったということを大変残念に思っています。

Q:明日から自民党総裁選が始まり、衆院選は新総理と戦うことになる。明日の総裁選の告示を受け、自民党に注目が集まっていくと思うが、立憲民主党としてどのように発信していくか

 われわれは、他党の党内のことについて直接介入する話だとは思っていませんし、常にその時々、一番いい形での、われわれとしての国民の皆さんへの発信を努力することに尽きると思っています。いずれにしても、特に野党の政策等の発信は選挙が近くならないと、有権者にも関心を持っていただくのが困難でありますし、メディアの皆さまもなかなか扱いづらいという現実を、私はむしろやむを得ないことだと思っています。その意味では、既に総裁選挙が準決勝のような位置づけになって、決勝戦である総選挙に対して国民の皆さん、メディアの皆さんの関心が高まっていますので、状況をしっかりと踏まえて総選挙に向けて着実な発信を進めてまいりたいと思っています。

Q:本日午前(日本商工会議所会員総会のあいさつで)中小企業支援を地域の商工会議所に集約すると話されたが、その狙いと意義は

 私自身が経済産業大臣の時に、──当時は原発事故の直後で、その対応が一番注目されましたが──何とか日本の中小企業・小規模事業に光をあてたいということで『ちいさな企業』成長本部を立ち上げました。その経験を踏まえると、それぞれの地域における中小企業・小規模事業者の皆さんにとって、さまざまな支援、それに対応する相談の拠点になっているのは商工会議所、ないし商工会だと思っています。一方で、中小企業・小規模事業者に対する支援をする措置はJETROをはじめとして、実は非常に多岐にわたっていて、全体像を私も大臣時代に把握をしようと努力をしましたが、なかなか複雑であり、組織が分かれている。組織の統廃合は必ずしも必要ではないかもしれませんが、とにかくあらゆる中小企業・小規模事業者に対する支援を商工会議所や商工会という拠点を軸にして、そこに全部集約をする。そこに行けばあらゆる形の支援がワンストップで受けられる。商工会議所や商工会の持っている機能を活かせれば、地域の自治体とも普段から密接に連携していますので、各地域に特色が活かせる。この仕組みをしっかりと作り上げる。そして、そこにしっかりと財源的な裏打ちをつける。これで現実的に、中小・小規模事業者に対する実効性ある支援ができる。私が大臣としての経験を踏まえて、政権政策として推奨していきたいと思っています。

Q:中村格さんが警察庁長官に就いたことについてどう考えるか

 公務員の一般職ですね、警察庁長官は。ですので政治が介入する話ではないと思っています。

Q:アベノミクス検証委員会の報告は誰がおこなうのか、いつ頃の予定か

 いろいろな方から話を伺いながら、早急に取りまとめて来週、できれば早いうちに報告をしてほしいと。ご報告をいただいたら、私と江田さんとで皆さんにお示しをするのではないかと思っています。

Q:共産党のいわゆる『敵の出方論』に立った暴力革命を選択肢から排除していないとする政府見解について、政権を取った場合変更するのか、あるいは維持するのか

 少なくとも私は、いま共産党が暴力革命を目指しているとはまったく思っていません。

Q:コロナ禍の経済対策としての生活困窮者給付金について、昨日のネットの番組では1律10万円給付のようなことをしないと給付が遅れるというように発言された。3日発表の緊急対策では、給付金には所得制限があり、低所得層に限定されたものだったが、1律10万円の給付も政権を取ったら検討するのか。また同番組で所得税の減免についても言及されていたが、改めて減免実施の考え方について

 私は常に政府は時間の関数と申し上げているし、2009年の教訓の大きな1つは実行するタイミングと実行する際にどれくらい時間がかかるのかの事前の準備や検討が不十分だったことがあると思っています。コロナ対策は本当に1日を争うような迅速性が求められています。したがって、どういう事態を想定しての発信になるか、かなり意識して発信をさせていただいています。先日の緊急対策は、とにかく総裁選挙と総選挙による政治空白の前に、いの一番にやる。予備費が一定残っていますので、予備費で一定の準備をした上でできるということで、低所得者の皆さんにということを提起をしました。

 本来あるべき支援の形としては、中間層を含めて所得税を1000万円程度の皆さんまで減免すること。それは所得税を一定程度収めている方以外には効きませんので、それ以外の皆さんにはそれに見合うかそれ以上の現金給付をおこなう。これをしっかりと組み合わせることによって、低所得者の皆さんには手厚く、そして中間層の皆さんにも一定のしっかりとした支援をする。これがあるべき姿だと思っています。

 そして、われわれはこれから2カ月、3カ月の政治空白の後に政権として何をおこなうかは、この間の政治空白の中で、それまでの政権が何をどこまで進めているのかを踏まえた上で、具体的に決めなければいけない。目の前で今すぐやらなければならないことと、われわれが目指すことをしっかりと整理しながら進めていきたい。

Q:この秋に政権を取った場合は、急ぎ給付をするために1律1人10万円給付も選択肢であるということか

 所得制限その他をかけると、その分審査や準備に時間がかかるのは間違いないと思います。その準備と全員に手厚くおこなった場合の準備とで、どれくらいの時間の違いが生まれるのかといったことから判断して、やはり迅速に給付することが求められていると思われますので。一方で、一定所得以上の方に所得税をかけることでそれを戻していただくこともできますので、とにかく必要に応じて急いで配ることを最優先するためには、あらゆる選択肢を否定できないと思っています。

Q:自民党の総裁選がおこなわれるが、何を最も大きな違いと打ち出していくか

 違いは山ほどあるので、まさに具体的な政策、政権公約などを発信して有権者の皆さんに判断していただかないとならない。いろいろなことがあるわけです、有権者の皆さんが期待していることについては。たとえば選択的夫婦別姓やLGBTの問題での違いに注目をしていただいている方もいるし、それから森友・加計に代表される嘘やごまかしの政治ではなくて、まっとうな政治ということを期待されている方もいる。株価だけ上げて暮らしを豊かにしてこなかった経済政策の転換を期待されている方もいるので、こちらがその中のどれです、と言うのは私は逆におかしいのではないかと。われわれはどこが違うのかということは沢山あるということを、それぞれについて訴えていくことが必要なのだと思っています。

Q:自民党総裁選に立候補を表明している河野氏が今日、選択的夫婦別姓と同性婚に賛成だとおっしゃった。代表は、自民党にはこの2つはできないと言及されてきたが、河野氏の発言をどう考えるか

 どなたの発言であれ、賛成であると自民党の中でおっしゃる方は今までもたくさんいらっしゃるし、実は菅総理も総理就任までは賛成とおっしゃっていたと私は記憶しています。問題は総裁候補として問われているのは、あなたは賛成なのかどうかではなくて、総裁として党内の反対意見を抑え込んででも推進する意思があるのかどうか。あなたは賛成でも、党内が反対だからできませんでは、何の意味もない。今までと一緒なんだから。なかなかそれはできないと思っています。ぜひ皆さんも、総裁候補にはそのことを問いただしていただきたい。