安倍元総理の国葬をめぐる問題について、馬淵澄夫国会対策委員長に立憲民主党の考え方について語ってもらいました。全文は以下の通りです。


 立憲民主党 国対委員長の馬淵でございます。
 今日は国葬の問題について、国論を二分するような議論という中で、残念ながら臨時国会は3日で閉じてしまいました。

 この国葬問題、まさに国民の中でも過半数の方々が反対と述べられるようになり、また内閣の支持率も急落するような状況です。
 なぜこのような状況の中で国葬を行おうとするのか、その問題点について簡単にお伝えをしていきたいと思います。
 まず我が国においては現行憲法下では国葬を規定する法律はありません。かつての大日本帝国憲法の時には勅令。しかし現行憲法が施行された段階で、これは無効となりましたので、国葬を規定するものはないということになります。

 そしてその後の中では、国葬は天皇皇后両陛下以外に吉田茂元総理だけとなります。この1967年に行われた吉田元総理の国葬についても、これも大変な議論が後に行われることになりました。つまりは法の規定が無い中で国葬を行った。そしてそれを、また予算措置を行ったことに対する是非が問われるわけです。

 そもそも国葬というのは大日本帝国憲法下でいわゆる皇族、さらには偉功と言いまして、何らかの偉大な功績のあった方々と言うような、ある意味、特別な方々の葬儀という位置付けだったわけでありますが、国民主権、そして当然ながら平等というこの日本国憲法の施行間においては国葬というのは、なじまないのではないかという議論が翌1968年にまき起こったわけであります。

 一番の問題は法の規定がないということです。そしてこれについてはその後の国会でも議論がなされて、一定の規定というものが政府の中でもこれは作っていかなければならないということが言われ出しました。
 しかしその後は、国葬は行われていません。佐藤栄作元総理が亡くなられた時も国葬の議論が一部にはあったやに聞いていますが、やはりこれほどまでに法的な整備が不備な国葬をあえて行うことはこれはやはり問題であるということからその後は、国民葬、あるいは内閣と自民党の合同葬、このような形で行われてきたわけです。

 そして今回は突然に岸田総理が国葬を決定された。それも法律の規定がありませんから閣議決定で決めたということになります。それも内閣府設置法に基づくということでこの閣議決定を行ったということでありますが、これは本来であればですね国民の議論をしっかりと仰ぐという意味において国会での審議が必要です。なぜ国葬を行わねばならないのか。法的規定もない中で内閣府設置法だけを準拠として閣議決定を行うこと、これがどのような整合性をもって国民に説明できるのか私たちは国会でこれを明らかにせよと言ってきました。 残念ながら国会は3日で閉じることとなりましたが、国対委員長会談での約束で閉中審査が行われることになります。8月中に一定の姿、たとえば国葬のあり方や予算などの規模を含めてこれが提示される段階で閉会中審査、私たちはこれを求めておりますので、これは国対委員長会談での了解事項として必ず行われることになります。
 そしてさらにはその予算の措置の整合性です。また、かつて国葬では国民に広く哀悼の意を示すことということの要請がなされました。ある意味 主権の制限につながることになるかもしれないということも含めて、この国葬のあり方ということも当然ながら国会審議の中で明らかにしなければなりません。 以上のような状況から、少なくとも国民に対する政府の説明責任を果たさない状況で安易に決められないということから、私たちは代表を先頭にこのような状況では反対だということを明確に示させていただいています。 いずれにしましても皆さん方におかれてはですね、大変な衝撃的な事件であったわけであります。選挙中において元総理が銃撃にあって死亡するという大変なテロ行為でもあったわけでありまして、悼む気持ちというのは、われわれも変わりませんが、当時7月8日の時、自民党、総理総裁はじめとする皆さん方が民主主義へのこれは冒涜だとこのようにおっしゃっておられました。
 その後はですね犯人の方が、統一教会との関係を供述をされだしてまた新たな課題が明らかになってまいりましたが、もしあの当時の言葉をそのまま使えば、民主主義への冒涜だということを声高に語られた総理、あるいは政府であるならば、今一度このような形で国葬を閣議決定すること自体が国会の議論を待たないということ自体が、民主主義の冒涜であるということを私は改めてお伝えしなければならないと思っています。その意味で、しっかり国会議論で国民の皆さまに説明責任を果たしてもらうそのための質疑を十分にとっていくということをお約束をしていきたいと思います。