今年度予算可決・成立を受け、「過去最高の税収見積もりを前提としており、能天気と言わざるを得ない」と福山幹事長

 福山哲郎幹事長は予算の可決・成立を受け、記者団の取材に応じました。

 福山幹事長はまず、「現下の新型コロナウイルスの問題について、まったく前提となっていない」「経済が急速に冷え込む中、事業の継続が危ぶまれる企業が沢山ある。また雇用不安の個人が沢山いらっしゃる中で、この現実にまったく向き合わず、過去最高の税収見積もりを前提としており、能天気と言わざるを得ない」と批判しました。

 また、野党が「新型コロナウイルスの問題について、しっかりと経済対策として組み入れをするべきだ」と主張してきたことを一顧だにせず、「相も変わらず数の力で押し切るような予算には到底賛成することはできない」と述べました。

 さらに審議の中で、桜の問題、森友学園、検事長の問題、コロナ対策の『連絡会議』と公文書の管理がずさんであることが明らかになったとして、「強く抗議したい」と語りました。

 そして、こうした経済状況の中、「今まさに困っている事業者・個人に対して、損失補填や現金給付を含めた経済対策、補正予算を1日も早く政府は検討するべきだが、来月下旬まで補正予算を出さないという議論になっている。遅すぎると言わざるを得ない。国民の不安に応えるような政権ではないと言わざるを得ない」と強調しました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:補正予算に関して、このあと政府・与党が早急に編成し、4月の大型連休の前までに成立を目指すという考えを示しているが、これについてどう考えているか

 まったく遅い。今からひと月後に成立を目指すというのは、現場で苦しんでいる個人も事業者も何をやってるんだという思いで見ていると思う。
 融資が上手く通っていなかったり、現実に売り上げが激減している中小零細企業にとっては、この補正予算が来月末までかかるなどというのは、考えられないような状況。

Q:午前の予算委員会で安倍総理大臣は、一部週刊誌で報じられた昭恵夫人が桜の木の下で写っている写真について「レストランの敷地内だ」と主張し報道の内容を一部否定したが、この安倍総理の発言については

 これだけ国民が自粛要請をされ、夜間の外出も自粛するようにという状況の中で、どこであろうが、桜の木の下でお気楽に食事会、花見をする。その神経がまったく理解できない。

Q:こうした安倍総理の姿勢について、立憲民主党としてどのように対応していく考えか

 森友学園の問題では、自殺をされた近畿財務局の職員の夫人が、遺書と手記を公開されています。そのことについても、いまだに再調査の意向を安倍総理は表明していない。不誠実と言わざるを得ず、公文書管理の問題も含めて、安倍昭恵夫人が懲りもせずこのような状況で花見をすることも含めて、コロナの問題が落ち着いたら、速やかに麻生財務大臣とともに、安倍総理には辞任をしていただきたい。

Q:今日、与党側からも「また昭恵夫人か」という声が上がっていた。ファーストレディーとしての自覚について、どう受けとめているか

 今頃言ってるのという感じ。もっと前から声を上げろと。だからこういうおかしなことがいくつも起こるんじゃないかと。だからこそ、近畿財務局の方の自殺みたいな問題が起こる。そのことに声を上げなかった自民党の議員の責任も大きい。

Q:コロナ問題がある一方で、安倍政権の問題は山積している。今後補正予算の審議等も予定されているが、立憲民主党としてはどのように政府に対して追及や問題提起を行っていくか

 コロナ対策については、かねてより「協力できるものは協力する」と申し上げている。オーバーシュートのリスクがこれだけ高まっている状況で、さらには今日も感染者の数が東京では40人を超えたと聞いている。非常に危機感を持って対応しなければいけないので、指摘するところは指摘する。
 例えば、検査の数が少ない、情報公開が足りないということは指摘をしていかなければいけないが、協力できることは協力していきたい。
 また政府・与野党連絡協議会ができているので、経済の問題については、現場の声をいち早く政府に届けるという思いで、事業者への損失補填や現金給付、あらゆるメニューについて、これからも継続して政府側に求めていきたい。
 安倍政権の政治姿勢はもう論外ですので、徹底的に追及していくしかない。

Q:追加の経済対策について、どうあるべきだと考えているか

 ずっと申し上げていますが、まずは学校休校で仕事がなくなったり、所得が減少している多くのお子さんを育てている家庭に児童手当のスキームを使い現金給付をいち早くやってほしい。そうすれば6月には給付されるので一息つけると思う。
 また事業者については、安倍総理の要請による学校休校、イベント等の中止、入国制限等があったので、損失補填のスキームも含めて、しっかりと対応できるようにしていただきたい。
 そして融資をはじめとした資金繰り対策については、まだまだ足りない。このこともいち早く政府には対応していただきたい。
 社会保険料の減免や、光熱費等の肩代わりも含めて、なるべく個人にも事業者にも新たに借金をさせない政策を優先していただきたい。政府は二言目には「融資だ」と言っていますが借金です。本来なら所得になる話が借金。これは非常にプレッシャーになる。例えば社会保険料を減免することで、直接の可処分所得が増える。光熱費を一部肩代わりすることで可処分所得は増えていく。納税を猶予することにより、いわゆるキャッシュフローが生まれる。こうしたことも含め、できるだけ借金をさせないメニューを作る。そして現金給付や損失補填等をきちんと対応し速やかにやる。こういうことを組み合わせて対応できるような補正予算・経済対策にしてもらいたい。

Q:一部の党で独自に経済対策を取りまとめているが、立憲民主党として新たに取りまとめをする予定はあるか

 今、共同会派の中で経済対策について議論し、そして各党が納得できるものを政府・与野党連絡協議会で要請している。このことは非常に大切なことで、野党の共通した要請は国民のいろいろな声の集大成なので、まずはこのことをやることが優先。各党がどうのこうのというよりは、まずは苦しんでいる事業者や個人に対しての経済対策をどうしていくのか、このことをまとめる方が優先順位は高い。

Q:つまり、立憲民主党としては新たに取りまとめる予定はないということか

 われわれ自身の考え方は基本的には議論をしていますが、各党が自分たちの手柄争いみたいな政策を打ち出すよりも、今国民にとって何が必要なのか、共有した考え方を政府にぶつける方が、政府に対しても説得力が生まれるし、今の政府の議論の中にある牛肉券やお魚券など、われわれから見ると考えられない議論が出ているので、本当に現場の声に即した形での具体的な要請を上げていく方が、優先順位が高い。

Q:衆院では森法務大臣に対して不信任案を提出した一方、参院では問責決議案を提出しなかった。どのようなスタンスなのか

 今でも法務大臣の資格にある法務大臣だとは思っていません。検事長の解釈変更による勤務延長問題は、日本にとって民主主義の根幹を揺るがす大問題。
 一方で、一昨日から東京のコロナウイルスの感染拡大が広がり、都知事からはオーバーシュートの可能性や、厳しい外出の自粛要請等が出ている中で、問責にも値し、法務大臣にも値しない法務大臣だと思っていますが、そのことで国会の時間を費やすより、今のコロナ対策の現状を鑑み、いつでも提出できるので、今ではないと判断した。

Q:「コロナ問題が落ち着いたら、速やかに辞任してほしい」とは、コロナ問題の収束の目途が立っていない状況であり、今国会では不信任等は提出しないと捉えられるが

 足元のコロナ対策が大変な状況で、いつ出すか分からない国会終盤の話をしてもまったく意味がない。
 もし、非常事態宣言が出る状況であれば、国会も開会できるかどうかに危うくなる。そのことも含めて、今その議論をすることは意味がない。

Q:今朝の予算委員会の理事会で、コロナウイルスに関する政府の連絡会議で議事録をどう残すかという問題について、「連絡会議については活動の記録などを残す」という政府見解が示された。ガイドラインには「議事の記録を残す」と書いてあるが、政府はそれを「活動の記憶」とやや丸めた言い方にしている。一部で議事録を残す気が本当にあるのかという指摘もあるがこのことについては

 これも安倍総理をはじめ、安倍政権の、その場しのぎの場当たり的な国会答弁が結果として虚偽になりつつあるということ。
 もともと連絡会議は『連絡会議』という代物ではなく総理レクの類だと思っていました。しかし、そこで決まったものが対策本部で追認される状況がいくつか続いており、コロナ連絡会議でどういう議論がされているのか非常に重要だと考えていました。
 クルーズ船の対応の議論や学校の一斉休校についても議論があったと思うが、その議事録はまったく残っていない。どういうプロセス、材料、情報のもとに、誰がどう発言し、意思決定しているのかまったく見えず、日本の政治の中での意思決定上、大変な問題。
 枝野代表、蓮舫さんとの国会質疑の中で、安倍総理、官房長官は「議事録を作る」「今作っていないが作る」と言われた。そして「緊急事態の公文書のガイドラインに沿ってやる」と言われたが、今の状況でいえば後退していることになる。
 これもいい加減なその場しのぎの国会答弁をしたということだが、この問題はそれでは済まされない。国民の生命、健康、そして社会生活に大きく影響する意思決定。どこで誰がものを決めたか分からない状況は許されない。
 今日の理事会に出されたものについて驚いている。変わらずしっかりガイドライン通りに、いわゆる総理レクであろうが何であろうが、『連絡会議』と位置づけたのは安倍政権そのものなので、この連絡会議の議事録等は、しっかりと提出をするように。まして、作成をするようにと強く強く求めていきたい。

 

https://cdp-japan.jp/news/20200327_2783

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