【政府与野党協議会】政府専門家会議の廃止、新たな分科会の設置に「合理性があるか説明がない、大問題」逢坂政調会長

政府・与野党は26日午前、新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会の第13回目の会合を国会内で開催。立憲民主党から逢坂誠二政務調査会長が出席しました。

 会議の冒頭、政府から専門家会議を廃止し、新たに分科会を設置するとの説明がありました。その後、各会派からの要望を行い、意見交換を行いました。

 会議終了後、共同会派と共産の出席者が記者団の取材に応じ、逢坂政調会長は専門家会議を廃止し分科会を設置する政府からの説明について、与党からも質問が多くあり知らない様子だったと明かしました。さらに会議終了後も政府と与党が残りやり取りをしていたと報告。「どこに合理性があり、そして今までの何が問題だったのか、そういうことも含めてしっかり検討していきたい」と語りました。

 この専門家会議について国民民主党の泉健太政調会長からは、協議会に出席している公明党の高木美智代政調会長代理が安倍総理と会い、専門的見地が必要であるとして求めてきた経緯があり、それが説明もなく廃止されるのは非常に心外である旨の発言を高木政調会長代理がされたこと、さらに感情的な話だけでなく、実際に保健所の検査体制や医療体制などの議論をする場として非常に有用で貴重な場であったとの発言があったと報告しました。

 さらに、24日に西村担当大臣が専門家会議の廃止と分科会の設置についての会見をしたことについて、(1)安倍総理を本部長とする政府対策本部で決定されたものではないこと、(2)なぜ西村大臣が発表したのか政府が答えられないこと、(3)協議会に参加している自民党の田村憲久コロナ対策本部長も知らなかったこと、(4)山中伸弥教授らがメンバーの政府の新たな有識者会議、AIを用いた有識者会議についても、位置づけや決定の経緯なども不明であること、(5)同じく24日に専門家会議が会見を開き公表した提言が専門家会議構成員一同という名前で日本記者クラブで発表されているものの、政府対策本部に渡されていないこと――などが明らかになりました。

 こうした話を受け、共産党の田村智子政策委員長は、「西村大臣が会見をやるに至った経緯は、何もかも、何一つ答えられない。曖昧にしてはらならない事態」だと話しました。

 逢坂政調会長は、専門家会議の問題点に大きく時間が割かれ、本来議論する予定だった個別の内容についてはあまり議論されなかったと説明。また、今回特に協議を求めた8つの要望事項については、次回の会議までに政府と与党の双方に考え方を説明するよう求めたことを報告しました。

 要望事項のなかでは、検査体制について政府の考え方を整理し体制整備を行うこと[要望7]は、与党からも同様の発言があったこと、医療機関への経営支援[要望6]について政府与党は融資で対応するという従来の考え方から与党の認識が変わってきたと説明。持続化給付金などの対象団体の適用拡大[要望2など]については、人格なき社団については与党内でも検討する余地が出てきたと感じたこと、風営法該当団体については与党内の議論が拮抗しており進む見込みがない状況であることを報告しました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:専門家会議解散、分科会設置の件、協議会のなかで発言されたこと教えて下さい

 今回、廃止をし分科会にするのは、どういう経過で決まったのか、誰が判断したのか、そして新たな体制に移ることの合理性はあるのか、そういうところについてまったく説明がない、疑問だらけだと。これは大問題であるという話をさせていただきました。

Q:専門家会議が廃止となることについての問題点は

 専門家会議が廃止になろうとも、これまでさまざまなことを議論し、世に発表してきたことは事実。しかも、これまでの政府のコロナ対策のある種の頭脳の部分を占めてきた。廃止によってそれまでの蓄積がどうなるのか、あるいは議論の記録はどうなるのか、そういったところついて今日の段階では具体的な話はないわけです。だから廃止とともに、これまでの議論の経過もリセットされる、消し去られるということはあってはならない。そこは留意しなければならない。

Q:国会が閉会して初めての会議。これからの進め方は

 これまでも協議会ではさまざまな要望出してきましたが、それを政府側は聞き置くという感じで、その後に具体的な対策に変わっていったわけですが、これからの協議会は単に聞き置くではなく、政府と与党の考え方もわれわれの要請に対して明確に打ち返しをしてもらう。それを明確にしていきたい。
 加えて、コロナ対策が進んでいる中で、(専門家会議の廃止など)こういう問題も出てきますので、国会閉会中とはいえども、発生する問題については政府・与野党連絡協議会の中で迅速に取り上げていきたい。その意味で来週、政府・与野党協議会をもう1回やるよう要請をしております。

Q:提案に対する政府与党の答えは

 特段反応がございませんでしたので、われわれの要請を了としたのだと理解しております。
 ただ自民党から一部のことについては回答ではないですが、今の考え方みたいなものは若干披瀝された。ただそれは正式に党内で議論されているものかどうかは今日の発言の中からはまだ分かりません。

Q:(泉政調会長に)西村大臣の会見などについて詳しく

 本部長以下、対策本部の中で議論がされずに西村大臣が先走って会見をしたということであれば、ガバナンスも含めて政府内が混乱してるのではないか。これは感染症対策全体に大きな影響を与えますので、こういった混乱を国民の皆さまにさらし続けるのは良くない。

Q:新しい組織体について与党からも疑問の声があったということだが、公明党や自民党からは

 大きな声で言ってませんでしたが「聞いてない」ということであります。後は政府とのやりとりというか、どうなってるんだみたいなやりとりを田村さんがしていた。高木さん田村さん二人とも顔を見合わせていたというのが実際のところです。

泉政調会長 われわれは昨日おかしいと思ったので、政府に説明を求めて(協議会で配布された)資料を昨日の段階で見ていましたが、どうもあの二人はあの場で初めて見た資料のような感じでした。

 共同会派「立国社」の要望は以下のとおりです。

新型コロナウイルス対策等に関する要望事項

2020年6月26日
共同会派 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム

【本日特に協議を求める件】

(1)これまでの新型コロナウイルス感染症対策専門家会議と政府との関係について検証すること。加えて、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議構成員一同によりとりまとめられた提言を政府としても真摯に受け止め、今後の新型コロナウイルス感染症対策に活かすこと。

(2)人格なき社団も含め、課税対象となるあらゆる業種の個人・団体について、分け隔てなく持続化給付金や家賃支援、税の減免、融資等の対象とすること。

(3)持続化給付金については、給付上限額の大幅増額を行うとともに、支給要件の緩和(現行50%以上の売り上げ減少率を30%以上にする等)を行うこと。また、寄付や雑所得など様々な収入減についても柔軟に事業収入減として認めること。

(4)特に収入が減少した個人に対して追加給付を行うことなどの対策を講ずること。

(5)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金については、簡便な手続きで速やかに給付するとともに、対象をすべての企業とし、賃金が大きく減少したすべての労働者に対して支給すること。また、失業給付の上限額を遡って休業支援金と同程度に引き上げること。

(6)経営環境が悪化している、歯科を含む医療機関等を支えるための新たな給付金を創設すること。

(7)今後の検査について政府の考えを整理し、それに基づいた体制整備を行うこと。

(8)持続化給付金、雇用調整助成金、無利子無担保融資の手続について簡素で迅速なものとなっているかを検証し、専門家活用などにより早急に改善すること。また、あらゆる給付や助成、融資等について、それぞれの進捗状況をわかりやすく示すこと。

【引き続き検討を求める件】

(9)今後も毎週、政府与野党連絡協議会を開催すること。

(10)新型コロナウイルス感染症対策予備費の使途を閣議決定する際には、事前に政府与野党連絡協議会にその内容を示すとともに、予算委員会審議を行うこと。また、今後、必要に応じて第三次補正予算を編成すること。

(11)オリンピック関連予算をはじめとする不要不急の既計上予算について見直すこと。

(12)持続化給付金やGo To キャンペーンをはじめとする各種事業の受託事業者の選定過程や事業実施体制・実施状況等について、説明責任を果たすとともに、委託費の削減を図ること。

(13)マスク着用による健康面への影響等について、国民に混乱をきたさないよう周知・広報するとともに、夏季向けに健康への影響の少ない新素材の開発・普及を進めること。

(14)自動車関連諸税など各種税や社会保険料等のさらなる減免を行うこと。

(15)地方創生臨時交付金については、その額を5兆円とするとともに、自由度を高くし、交付手続も簡易・迅速なものとすること。

(16)中小企業等の返済の猶予や返済期間の延長、金利の減免などの条件緩和要望には誠実に対応することを金融機関に求める立法(モラトリアム法)について検討すること。

(17)時限的に公益法人・一般法人等も信用保証制度の対象とするとともに、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付については中小企業事業(融資上限3億円)の対象とすること。

(18)新しい生活様式の導入に伴い、顧客減や収容人数減などで十分な収入が確保できない事業者や施設所有者に対して様々な支援策を講ずること。

(19)医療崩壊を防ぐためにも、次の流行期のインフルエンザワクチン接種については、希望する全ての人が無償で受けられるようにすること。また、そのために必要なワクチンを確保すること。

(20)保育所や学童保育で働く者に対しても慰労金を支給すること。

(21)認可外保育園について、登園自粛した保護者の保育料の軽減措置を講じること。

(22)移動の自粛により、公共交通機関の経営が極めて厳しい状況にあることに鑑み、需要回復に至るまでの支援策を講ずること。また、事業規模に関わらず、固定資産税や航空機燃料税、着陸料などの減免を行うこと。

(23)活動の縮小や停止を余儀なくされている文化芸術関係者や関連業種従事者への支援について、支援対象を拡大し、予算を大幅増額すること。

(24)児童扶養手当受給者に対して、半年間、児童扶養手当の額(全部支給の額)に相当する額の臨時特別給付金を支給すること。

(25)特別定額給付金の基準日(2020年4月27日)以降で給付申請書到着以前に亡くなった方についても、給付金の支給対象とすること。

(26)在外邦人についても特別定額給付金の支給対象とすること。また、在外邦人の生活に支障がないよう、適切な対応を行うこと。

(27)雇用調整助成金については、企業の規模を問わず、減収が著しい事業者については、助成率を10/10とすること。また、早急にオンライン申請ができるようにすること。

(28)小学校休業等対応助成金の活用を促進するため、個人申請方式を導入すること。

(29)学校の再開に際して、新しい生活様式の導入に必要十分な教員や指導員などの人材の確保を行うと同時に、必要な備品の確保、施設・設備の改修支援を行い、学びの機会を保障すること。教員については臨時免許を活用すること等により、必要な人員を確保すること。

(30)休校措置の長期化に伴い、受験を迎える子どもたちに不公平が生じないよう配慮すること。

(31)学生支援については、野党提出法案の趣旨を踏まえ、授業料の半額を免除すること。奨学金については、返還が困難な者に対し、今年度分の返還を免除すること。

(32)学生支援緊急給付金支給に関し、留学生だけに課されている成績要件を撤廃すること。

(33)外国人労働者や技能実習生の生活に支障がないよう、適切な対応を行うこと。また、帰国待機中の外国人の在留資格の延長、雇用先・滞在先の確保など十分な配慮を行うこと。

(34)感染リスクを回避するため仮放免された者の生活や医療を支援する措置を、自治体と連携して行うこと。

 以上について、政府及び与党においてもそれぞれ速やかに議論を行い、結論を出すこと。

 

https://cdp-japan.jp/news/20200626_3167

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