参院本会議で12日、「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案」が審議入りし、趣旨説明がおこなわれ、参院会派「立憲民主・社民」から塩村あやか議員が質疑をしました。

 本法案は、少子化対策を推進する一環として、増大する保育の需要等に対応し、子ども・子育て支援の効果的な実施を図るため、施設型給付費等支給費用のうち一般事業主から徴収する拠出金を充てることができる割合の引上げ等を行うとともに、児童手当が支給されない者のうちその所得の額が一定の額未満(1,200万円未満)のものに限り特例給付を支給する措置を講ずるものです。

 塩村議員は、(1)男性の家事育児参画(2)OECD諸国最低レベルの家族関係支出(3)特例給付の廃止・縮小(4)事業主拠出金(5)保育士不足(6)くるみん・プラチナくるみん助成金――等のほか、無痛分娩の負担軽減、痛くない婦人科検診推進、不妊治療の保険適用、非正規雇用・フリーランスのカップルへの支援等について質問しました。

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 塩村議員ははじめに、今年の日本の出生数が80万人を割ることが経済財政諮問会議で示されたことについて触れ、このことが従来の政府予測よりも10年早いことに、「事態は深刻」と懸念しました。そのうえで、日本の少子化に歯止めをかけるためにできることとして、「男性の家事・育児参加」がEBPM(Evidence Based Policy Making)で示されたと説明。家庭内で男性の家事・育児負担割合が高い国ほど出生率が高くなっているという論考を紹介し、「男性の家事割合を女性側が評価した統計によれば、日本の男性の家事・育児割合は調査対象国の中で最低であり、当然出生率も最低レベルでした」と述べました。また、子育てにおける男女平等が進んでいる国ほど出生率に結果が出ており、妻の負担軽減に焦点を当てた政策が、出生率の引き上げに特に効果的だという考えも紹介しました。

 塩村議員は、民主党政権時に導入された「子ども手当」以降、全世帯への給付を維持してきたが、今回の法改正ではじめて児童手当を受け取れない家庭が発生することを指摘。家族関係支出と出生率に正の相関関係が見られることに言及し、「なぜ、今回の改正で待機児童対策のために国費の新たな投入ではなく、年収1,200万円以上の高所得者を児童手当の特例給付の対象外としたのか」と投げかけました。また、坂本少子化担当大臣がこれまで「児童手当は少子化対策」と答弁してきたことにも触れ、「これは明らかに子育て支援の拡充に逆行するもので、誤ったメッセージを子育て世代に送ったことになる」と強調しました。

 さらに塩村議員は本法案の気になる点として、所得制限の額を政令で定めることとしていることをあげました。「政令は国会を通す必要がなく『所得制限額』が引き下げられて、児童手当や特例給付の対象外となる子どもがどんどん増える懸念が拭えない」と指摘しました。

 また、子ども・子育て支援法の第66条の3に保育所等の運営費に充てるための「事業主拠出金」の割合を「6分の1を超えない範囲内」から「5分の1を超えない範囲内」と引き上げたことについて、「こちらは法律に明確に数字が記してあり、国会を通さないとこれ以上の引き上げも、引き下げもできません。今後、出生率の低下により待機児童は確実に減少しますが、その場合、事業主拠出金の引き下げや廃止はありうるのか」と質問しました。

 付則14条の2の「子育て支援に積極的に取り組む事業主に対する助成制度の創設」にも触れ、対象企業への助成額を50万円としていることに対して、「その使徒は『育児休業を取得する職員の代替となる職員を確保するための費用』や『短時間勤務やフレックス制度の導入、周知の費用』となっているが、代替職員の人権費だけでも到底50万円ではカバーできない」と指摘しました。

 最後に塩村議員は、「本気で少子化対策をするのであれば、非正規という不安定雇用者が4割近いいま何をするのかが重要だ」と述べました。子育てにお金がかかれば、不安定雇用者は子どもを持つことに積極的になれず、「中絶の一因であり、少子化にもつながる」と指摘。フリーランスは育休をとると収入がゼロになってしまうことにも触れ、フリーランスの方々に特別な施策が必要と考えているのか政府にただしました。

「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案」趣旨説明質疑210512.pdf

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https://cdp-japan.jp/news/20210512_1344