参院内閣委員会で17日、閉会中審査がおこなわれ、杉尾秀哉議員が質疑に立ちました。

 16日に東京都の新型コロナウイルス感染者数が過去最多に上る危機的状況をふまえて、政府にGoToトラベルキャンペーンの全国一斉停止開始時期の前倒しを要請しました。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長に、GoToキャンペーンの全国一斉停止を決定した政府の判断について、受け止めを質問しました。尾身会長は「今回の判断は国の強い決意の表れだ。これを契機に何とか感染拡大を沈静化させたい」と回答しました。

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 今後の感染拡大の見通しについて、尾身会長は「ウイルスの特徴により、50代以下は無症状となる。全く意図せず県を越えて活動することにより、高齢者や医療機関などに伝播することになる」と述べ、国民が年齢を問わず、感染者との接触を防止していくことが重要だと強調しました。

 続いて、西村経済再生担当大臣に分科会が再三提言したにもかかわらず、政府の決断が遅くなった責任について問いましたが、明確な回答は得られませんでした。

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 杉尾議員は「12月11日に菅総理はGoToキャンペーンの見直しは考えていないと発言していた。それが週末の世論調査で政権支持率が下がったのを受けて、決断したのではないか。この政権は国民の命と健康よりも政権を維持することしか考えてない」と強く批判しました。

 また、16日の衆院内閣委員会で西村大臣が大人数の会食に参加した菅総理を擁護し、「5人以上の会食でも問題ない」と発言したことについて、「国民に誤ったメッセージを伝えた」と修正を求めました。さらに、菅総理は「国民に対するメッセージを簡潔にわかりやすく発信するべきだ」と苦言を呈しました。

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 イギリスの遺伝子分析調査で20-50代の無症状の人たちの移動や旅行が感染拡大の原因だったことが明らかになったと紹介し、日本でもGoToトラベルと感染拡大の関連性について、客観的な調査が必要だと主張しました。

 「勝負の3週間」の評価について、報道機関が政府の何もやっていないのに等しい対応を「敗北」だと評価していると述べ、西村大臣に「感染拡大が減少傾向にならなければ、防止策を強化しなければならない」と確認しました。

 保健所でのクラスター対策の限界と今後の感染防止策について、尾身会長は「北海道などの地方ではクラスターのリンクがわかるが、都市部は流動性が高くリンクが追えない。民間を含めた戦略的な検査の実施が必要だ」と答弁しました。

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 GoToキャンペーン再開の条件について、西村大臣は「感染状況がステージ2に戻る地域から、知事の判断を踏まえて、国が判断していく」と説明しました。

 最後に杉尾議員は「NHKの執行部は(政権を)裏切った」と発言したという報道を受けて、坂井官房副長官に事実関係とその意図、NHKと報道の自由に関する認識について質問しました。
 坂井副長官は私的で非公式発言だったと認めましたが、「そのように発言した記憶はなく、報道の自由を尊重している」と説明しました。

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