枝野幸男代表は4日、菅総理大臣が同日の会見で1都3県に緊急事態宣言を発出することを検討すると述べたことを受け、国会内で会見をおこないました。

 枝野代表は、(1)緊急事態宣言発出にあたり、国会で対応すべき事項について前例にとらわれず速やかな協力をする(2)飲食店への営業時間短縮を要請する際、国の責任で十分な損失補償をセットにする(3)対象地域の選定は、総理・政府の責任で判断する(4)受験生の不安を小さくするために適切なアナウンスメントを求める(5)生活困窮者に対する速やかな支援を政府に求める(6)新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案について、野党案をベースにするならば柔軟な修正に応じる(7)通常国会の前に臨時国会を開き、特措法改正案の速やかな審議を求める──ことを冒頭述べました。

 緊急事態宣言を発出することについて枝野代表は、「2日に4都県知事が総理に申し入れをしたので、速やかに対応すると思っていた。しかし、残念ながら(会見が)今日になったことは大変遺憾。発出を検討すること自体は前向きに受け止めるが、一刻も争う状況だ」と述べました。

 飲食店へ営業時間短縮を要請することについては、「1回目の宣言や長期化する感染状況に加え、年末年始の書き入れ時にさまざまな活動自粛を要請されて、大幅にお客さんが減っている。その中で、さらに営業時間の短縮を要請するならば、廃業や倒産を迫られる事業者が急激に出てくることが予想される。十分な補償をセットで組み立て、国がしっかりと財源の裏付けを示すべきだ」と提案しました。

 1都3県にのみ緊急事態宣言を発出する方向であることについて、大阪では医療がひっ迫している状況であることに触れ「本当に1都3県で足りるのか。大阪は医療崩壊プロセスにあるのではないか。これまで野党や知事が判断を先行し、菅総理は後追いする状況だった。せめて宣言の対象地域の選定は、都道府県知事の判断を待たずに総理・政府の責任で医療の崩壊を食い止める判断をしてほしい」と求めました。

 学校への対応については、「断片的に伝わるところでは昨春の一斉休校のようなことは求めないと伝えられている。そのことは適切ではないかと思っているが、一方で、感染拡大を防ぐためのさまざまな手当が必要。受験生に不安を与えないよう十分なアナウンスが必要だ」と受験生に対する十分なケアをうったえました。

 新型インフルエンザ対策特別措置法改正案の早期成立のため、臨時国会を開くべきか記者団から問われると、「政府の考えを示さずに時間だけが過ぎて、案がまとまったからとすぐに採決をされてはこちらも困る」と述べ、「できるだけ公開の場で一致すべきは一致させ、できないならば違いを明確にする等、争点を明らかにするべき。政府・与野党連絡協議会で、実質的に国会審議に代わるような議論の場を開催しないといけない」と説明しました。

 COVID-19の感染拡大が続いている中、これまでの政府の対応について受け止めを問われると、「正常性バイアスに陥っていると受け止めざるを得ない。こうした危機管理では悪い方のケースを想定して対応しないといけない」と政府の対応を強く批判しました。そのうえで、「GoToの停止の遅れ、緊急事態宣言の遅れ、特措法の真剣な議論のスタート遅れ、いずれにせよ正常性バイアスが働いて楽観的見通しになっている。これを一刻も早く脱却して、最悪のケースに備えた対応をしてほしい」と適切な危機管理対応を求めました。