「本来、政府がやらなければならないのは、なぜ酒類の提供せざるを得ないのか、その理由をしっかりと突き詰めて、ならばどんな対応対策をとれば、酒類の提供を控えて頂いて、感染を抑制することができるのかを考える、こういうことをやるのが政府の本筋だ。ところがそういうこともやらずに、自分の無策を棚に上げて、酒類販売に圧力をかけるなど、権力を乱用する。これは無能な為政者のやること。能力がない人は権力を乱用する」(逢坂誠二新型コロナウイルス対策本部長)。

 立憲民主党は13日、立憲民主党新型コロナウイルス感染症対策本部と会派の厚生労働部会・文部科学部会の合同会議を国会内で開催。(1)緊急事態宣言の発令及び基本的対処方針の変更(2)東京オリンピック会場での観客上限(3)新型コロナワクチン供給の現状(4)前回会議での回答(宿題返し)――等について、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室、内閣オリパラ事務局(内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局)、厚生労働省等よりヒアリングをおこないました。

 逢坂誠二新型コロナウイルス感染症対策本部長が冒頭、あいさつをしました。逢坂本部長は、酒類を提供している店舗に対して金融機関を通して圧力をかけるという話を西村康稔経済再生担当大臣がしたことについて「最初、これを聞いた時、西村大臣の思いつきなのかなと思っていた。ところがなんと実は政府をあげてこの金融機関に圧力をかける準備をしていたということのようだ。これには本当に呆れた」と発言。さらに酒類の販売事業者に対し、西村大臣が『飲食店に酒を売るのを止めて欲しい』と要請していることについても「そんなことできるはずがない。個人的なことだが、私の実家も酒の販売をしていた。取引のある飲食店の方から『ビール頼みます』と電話が来て、『売りません』なんて言えるはずがない」と述べました。またワクチンの供給については「昨日、私も地元を歩いていて、何人かの方に言われた。『コロナのワクチンで政府にはしごを外された』と。自治体の皆さんが一生懸命頑張って今、何とかして多くの方にワクチンを接種して頂いて、希望される方には、安心感をもってもらおうということでやっている。ところがこれについて河野太郎ワクチン担当大臣は、何と言ったか、『自治体が打ち過ぎている』。何を言ってるんだ。どこにこの理由があるんだろう。自治体が打ちすぎてワクチンが足りないんじゃない。そもそも、ワクチンの納入見通し、配布見通し、これを政府がきちんと明確に示せないことが最大の理由だ」と、責任を自治体に転嫁する政府の姿勢に対し、憤りを露にしました。

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■緊急事態宣言の発令及び基本的対処方針の変更

 質疑応答では「緊急事態宣言後の会見で菅総理が、1回目のワクチンを終えた人が人口の4割を超えると感染が減る可能性があるとする民間シンクタンクの研究を引用していた。しかしこれはデルタ株がまん延する以前に出されたレポートであり、ミスリーディングではないか」(岡田克也衆院議員)、「酒類販売に圧力をかけるというのは、法的根拠がない。『優越的地位の乱用』にあたるのではないか」(阿部知子衆院議員)といった質問や意見が出されました。

■ 東京オリンピック会場での観客上限等について

 「緊急事態宣言が出された東京都などにおいては無観客が決まったが、一部の県では一定数の観客を認める方向だ。これには何か客観的な基準はあるのか」(阿部知子衆院議員)との質問が寄せられました。これに対しオリパラ事務局からは「緊急事態宣言下での収容できる観客数については基準があるが、それ以外の地域については、各自治体と話し合って決めている」という趣旨の回答がありました。この他、「無観客の会場で観戦する五輪関係者は何人か」(泉健太政調会長)といった質問が寄せられました。

■ ワクチン供給の現状について 

 モデルナ社製ワクチンの供給見通しについて質問が集中しました。「当初、見込まれていた6月末までに4千万回分、という見込みはなくなったという理解でよいのか」(泉健太政調会長)、「6月末までに1,370万回分の供給ということか」(逢坂対策本部長)との質問について、厚生労働省の担当者がそれぞれ肯定すると、さらに「1,370万回分に供給量が減った、ということを政府が把握したのはいつか」(長妻昭厚労部会長)との質問が出ましたが、これについては後日、厚労省が回答することとなりました。

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■前回会議からの宿題返し

 一旦入国したオリパラ選手や五輪関係者の隔離について質問が集中しました。選手村を実際に視察した山井和則衆院議員からは「初日からコンビニや個室レストランを訪れた人数を問い合わせても『記録することになっていない』との回答だ。これではザルだ。ぜひ改善して頂きたい」との要請がありました。

 その後、入国後最初の3日間は、選手・関係者が指定コンビニ等を訪れる際は、監督者が帯同すると五輪プレイブックに定められていることについて質問が出ました。監督者の配置数は「1施設に1、2名」とオリパラ事務局が明らかにすると、「その人数で、本当に必ず帯同できるのか」(山井和則衆院議員)との質問があがりましたが、事務局からは「詳細は把握していない」との回答しかありませんでした。また「隔離期間初日の人が個室レストランを予約する際は、その(初日であるという)事実を組織委がレストラン側に伝える義務はないのか」(山井議員)との質問に対しては「確認させて頂きたい」(オリパラ事務局担当者)との回答がありました。この他、「競技の終わった選手らが長期滞在することはないのか」(塩村あやか参院議員)、「選手村の発熱外来に常駐する医師・看護師の人数」(川内博衆院議員)といった質問も寄せられました。

20210713党コロナ本部・会派厚労・文科合同会議_次第.pdf
0708政府対策本部資料.pdf
(オリパラ事務局)【議題2.説明資料】210713立憲民主党合同会議.pdf
(オリパラ事務局)【議題4.説明資料】210713立憲民主党合同会議.pdf
スポーツ庁提出資料.pdf
資料①全体像.pdf
事務連絡.pdf
210713(山井議員資料)コロナ合同会議.pdf

https://cdp-japan.jp/news/20210713_1791