議会開設130年という節目の昨年9月、野党勢力が結集、立憲民主党が結党しました。どのような思いで立党し、この1年を歩んできたのか、来たる衆院総選挙にどう臨むのか、枝野幸男代表に聞きました。

「もう1つの選択肢になる」という思いが結集

 日本に議会が開設されてからの130年を振り返ると、戦前、特に昭和初期に議会が十分に機能を果たせなかった時代がありました。敗戦というきっかけがあったにしても、それを乗り越え100年を超える期間、議会制民主主義という基本が守られてきました。民主主義に完成形はあり得ません。これまでの先人の努力に敬意を表します。

 戦後の政治体制は、(1)1955年までの10年間(2)「55年体制」が続いていた昭和から平成の初期(3)1996年の小選挙区制度導入以降の二大政党制を模索してきた時期――以上の3期に分けられると思います。小選挙区制が整ってからは、自民党ともう1つの選択肢が第2自民党なのか、それとも理念の異なる現実的な政党なのか、そのせめぎ合いの模索が大体20年以上続き、それが平成政治の混乱につながりました。

 国民の皆さんに選択肢がないと、議会制度は成り立ちません。2009年の歴史的な政権選択選挙を経て、2012年の総選挙以降、選択肢が見えない状態がずっと続いてきました。2017年には、自民党に対峙するもう1つの核になるべき野党チームが一旦バラバラになってしまいました。もう1つの選択肢、それは数だけではなくて、自民党と何が違うのかを明確にすることを含めて、「私たちがもう1つの選択肢になる」という決意が結党へと私たちの背中を押した大きな要素だと思います。

結党で議会政治が新たなステージに入った

 今の自民党は、「競争」「自己責任」「立憲主義に対する消極姿勢」などと方向性が明らかになりました。一方で、それとは明確に違う、現実性のある理念をきちんと掲げる政党、立憲民主党が1996年の小選挙区制で行なわれた衆院選から25年を経てようやく立ち上がりました。選択肢の一翼を担うのが、私たち、立憲民主党の使命ではないでしょうか。この20年、30年の経験と教訓を基にして、日本の議会制民主主義は、「国民に選択肢がある政治体制」の段階に入ったのだと認識しています。

 この1年を振り返りますと、求心力の高まりを感じながら党運営をすることができました。1990年代後半以降、自民党に対抗する勢力は、常に遠心力との戦いを内部に抱えていました。ところが2017年の教訓が多くの野党議員たちに共有される中で、遠心力という課題を感じることなく進んできました。おそらく2017年をきっかけに遠心力が求心力に変わっていったことが、そもそも昨年の合流、結党だと思います。

次期総選挙で「政治を変える」責任を果たす

 2017年総選挙時の戦いの構図では、野党側が政権の選択肢として、国民から認めてもらえるところまでいけたかどうかに疑問が呈される状態でした。その後、衆院が解散せず、4年間続いたことにも助けられたと言うべきかもしれませんが、立憲民主党が「政権の選択肢」と胸を張って言える状況を作ることができました。

 今コロナ禍で、3年後、5年後、10年後に「良い政権ができた」では、遅いし、間に合いません。それほど国民の生活が危機に瀕しています。こうした危機的状況を迎えている中で、何とか選択肢となり得た私たちが、「政治を変える」。その責任を果たしていかなければならない。そのための総選挙だと位置付けています。

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選択肢と認めてもらえる中身を準備万端整えた

 なぜ私たちが「政権の選択肢」として自己を認識しているのか。次期衆院選で最終的に233人の候補者を揃えることができるからです。定数の過半数の候補者を擁立できる政党でなければ、選択肢になり得ません。立憲民主党という大きな塊ができ、現職議員に加えて、新人候補者も発掘できました。

 一方、内実も伴わないといけません。1年前の結党時の綱領の議論では、旧国民民主党、旧立憲民主党などの政務調査会長同士が、あまり違和感なく取りまとめることができました。次の総選挙で何を打ち出していくのか。足元の新型コロナ感染症にどういう対案を示していくのか。こうした政策面でも、かなりメリハリをつけて、現実性があり、自民党とは違う提案を打ち出し、積み重ねてくることができました。来たる総選挙で自民党や公明党が出してくる政権政策と比べて、具体性、現実性の両面で、十分に選択肢として認めてもらえる中身をすでに整えていると自信を持って申し上げられます。

 本インタビュー後、枝野代表が「 #政権取ってこれをやる 」と題して順次発表した政策は下記の通りです。

枝野代表が「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」7項目を発表 福山幹事長会見

枝野代表「 #政権取ってこれをやる Vol.2」で多様性や人権に関する政策を発表

枝野代表、 #政権取ってこれをやる Vol.3 で農林水産業政策、地域政策を発表

枝野代表、「持ち家重視の日本の住宅政策を転換する」 #政権取ってこれをやる Vol.4 住まいの安心と住宅政策の転換を発表

枝野代表が「平和を守るための現実的外交」を発表 #政権取ってこれをやる Vol.5

枝野代表が「分配なくして成長なし!みんなを幸せにする経済政策」を発表 #政権取ってこれをやる Vol.6

「変えたい」「変えます」ではなく、「変えよう。」

 私たちのメッセージのミソは、「変えたい」「変えます」ではなく、「変えよう。」ということです。つまり立憲民主党や枝野幸男が「変えたい」「変えます」ではない。「国民の皆さん、一緒に変えよう。」なのです。これがメッセージのポイントです。4年前の旧立憲民主党を立ち上げた時に「立憲民主党とはあなたです」、あるいは「ボトムアップの政治」と訴えました。これは政治と有権者の距離が遠くなっているとの思いからです。そこが私にとっての一つの原点。私たちがやるのではない。一番風当たりの強いところに私たちは立ちますが、皆さん、一緒に変えましょうということです。

 何を変えるかは、多義的です。まさに今、命の危機を迎えている皆さんにとって、コロナに対する医療を変えてもらいたい。ご商売を続けられない状況になった皆さんにとってはそこを変えてほしい。森友、加計、桜を見る会に象徴される不正を許せないという皆さんは、そこを変えてもらいたい。今の政治で変えなければならないテーマは、山積みです。

 これを変えるには、来たる総選挙で勝利しなければなりません。「選挙の風」という話がよくありますが、風が吹くのかどうか、その風を受けられるのかどうか。選挙の帰趨は、候補者本人の熱量と運動量しだいです。熱量と運動量のない候補者には、どんな風が吹いても、追い風にはなりません。とにかく、まさに「今、変えなければならない」という使命感、熱量を持って、全ての候補者が最大限の熱量と運動量で戦い抜かなければなりません。

 ただ、私たちだけでできることは限られています。多くの国民、有権者の皆さんと一緒にならないと変えられません。国民の皆さんと一緒に変えていきたい。その中心を担うのは、枝野でもなければ、各地域の候補者でもありません。党員、協力党員、そしてパートナーズの皆さんです。皆さんが「変えよう。」という運動の中心になってもらうことが、結果につながるものと確信しています。

国民の皆さん、一緒に変えよう

 結党して1年。旧立憲民主党から数えても4年しか経っていません。党として十分に期待に応えきれてない面があることは重々承知しています。しかし、今まさに国民の命と暮らしを守る意味では、「待っていられない」状況にあると認識しています。9年近く続いている自公政権。コロナ対応を見ただけでも、さすがに「いい加減にしてほしい」という思いは、多くの国民の皆さんが共有しているのではないでしょうか。

 立憲民主党には、私自身を含めて多くの同僚議員が2009年発足の政権に関わりました。あの時の経験と教訓があります。当時、国民の皆さんの期待に応えきれなかったという苦い経験があります。そうした経験こそが、同じ失敗を繰り返さないための私たちの大きな財産です。この経験があるからこそ、安倍・菅政権よりも適切に危機管理ができると確信しています。

 東日本大震災と原発事故の危機管理を担った経験と教訓を、コロナ禍を乗り切るために使わせてもらいたい。国民の皆さんが立憲民主党を政権に選んでも、私たちは新しい政府を円滑に回していけるよう準備万端整っています。国民の皆さん、ぜひ私たちと一緒に今の政治を変えましょう。(9月1日取材)

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