立憲民主党は12日、観光産業持続化給付金法案(新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている観光関連事業者に対する緊急の支援に関する法律案)を衆院に提出しました。小宮山泰子国土交通部会長、川内博史政調会長代行、城井崇衆院国土交通委員会理事、山井和則、山本和嘉子各衆院議員が衆院事務総長に法案を手交しました。辻元清美副代表、逢坂誠二新型コロナウイルス感染症対策本部長も提出者です。

 提出者らは法案提出後、記者団の取材に応じ、小宮山部会長は「新型コロナウイルス感染症が広がり、GoToトラベルが止まり、まん延防止等重点措置の対策がとられ、観光産業は大変厳しい状況に陥っている。自粛という形で、修学旅行等を含め旅行の延期、中止が続いて1年以上経つことになる。わが国は観光立国を謳っており、東京オリンピック・パラリンピックを控えている中、観光産業、旅館業等、そしてそこに出入りをする業者の方々がなければ観光立国が維持できなくなってしまう。今やるべきことはGoToトラベルの再開ではなく、まずは直接的な支援が必要」であると法案の趣旨を述べました。また、GoToトラベル事業自体を否定するものではなく、当初政府が主張していたとおり、新型コロナウイルス感染症が収束した後に需要喚起のためにおこなう施策としては大変意義があり、給付金のためにGoToトラベル事業とは別に予算を確保する考えを示しました。

 続いて城井理事は「現在の感染がまん延している状況、まん延防止の重点措置、或いは3回目の緊急事態宣言も想定される中で、特に人の動きが重要な観光産業、そしてそこに係る産業は自分たちの努力で営みをつくることが出来ない。GoToトラベル事業のような、ある意味大きすぎるエンジンをふかすとその副作用も大きいとことになるので、GoToトラベルを再開できるまでのつなぎとして、1つには人が動くことができない地域の観光関連産業と取引先については直接給付。そして感染が落ち着いたところでマイクロツーリズム(地域観光)に対する地域観光事業支援」という手段を準備することを国土交通省に政策要望をしてきており、GoToトラベル再開までのつなぎの支援の部分を形にしたのが今回の法案の趣旨だと説明しました。

 具体的な支給対象について「地域の観光振興に資すると認められる旅行業、宿泊業、観光施設事業、道路旅客運送業、飲食店業、小売業等の事業を営む者。あわせて要望の強かった、観光関連事業者の方と継続的に取引のある事業者の方にも光を当てて支給対象とし、何とか手を差し伸べて直接給付での支援をお届けする形にした」とのべました。事業者の認定に当たっては、基本的には地方自治体が、地域の観光関連産業との繋がりを熟知している商工会議所、観光協会などと相談しながら認定できる仕組みにしたと説明しました。

 支給額は 昨年1年間は観光業がほとんど動けていなかったので、2019年と2020年の売上金額を比較することとし、2019年における売上金額からの減少が2割以上減少した所について支援すると説明し、「たとえば中小零細な事業者さんも、ある程度の規模のある事業者さんも、事業規模に応じて売り上げの大小があるので、その売り上げの大小に応じて、事業規模ごとに公平な支援が届く仕組みにした」と述べました。給付金の必要経費の見積りもりについては、今年の1月から3月に執行されなかったGoToトラベル事業予算約1兆3,000から4,000億円に相当する金額になるとの考えを示しました。

 山本議員は、「私の地元には天橋立という観光地がある。土産物屋さんはシャッターが下りている状態。飲食店も昼間だけ営業している店も多いので協力金の対象にならないところも多い。そうした中で沢山のご要望、いろいろな課題を聞かせていただいており、観光に特化した給付金の支給は皆さんにとって本当に有難いことだと思っているので実現に向けしっかり頑張りたい」と語りました。

 川内政調会長代行は「立憲民主党はzeroコロナ戦略を打ち立てており、その戦略とは十分な補償を担保しているのだということを国民の皆様にお伝えするためにこの法案を提案させていただいた。観光産業は大変裾野の広い、雇用者の多い産業であり、昨年1年間で大体、関連するところで10兆円くらい売上が減少している。年初からの緊急事態宣言、またまん延防止等重点措置等で大変傷つき、打撃を受けているので可及的速やかに給付をしていかなければならない。中途半端な感染対策と中途半端な経済対策では、マスクがとれる日は戻って来ない。私どもは十分な補償こそが最大の感染対策であると位置づけて、この法案を何としても与党にも協力を呼び掛けて成立をさせていかなければならないと考えている」と語りました。

 山井議員は、12日から3都府県でまん延防止等重点措置が実施されることに触れ「当面GoToトラベル、GoToキャンペーンはなかなかできない。感染の完全収束までの間、つなぎとして観光業の方々に給付金を出さないと、観光業がつぶれてしまう。観光立国という考え方、政府与党、野党も全く同じ思いだ。1月から3月まで政府が使おうとしていた1兆4,000億円くらいは使えなかったわけですから、それと同じ規模の給付金を出すということは当然、政府与党も賛成してくれると思う」「自民党にもすぐに審議に応じていただいて、今瀕死の厳しい状況にある観光業界を救っていただきたい。私の地元は宇治でも、飲食店のおかみさんから、毎年春の天気の良い日は昼食時は満員なのに今はガラガラ。晩に営業する飲食店は給付金が出るのに、昼の観光業には全くお金が出ないので助けてほしいとの話があった。そういう観光業を皆の力で救いたい」と語りました。

 
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左から山井議員、城井議員、小宮山議員、山本議員、川内議員

https://cdp-japan.jp/news/20210412_1148