福山哲郎幹事長は26日夜、2021年度政府予算が成立したことを受け、国会内で記者団の取材に応じました。

 冒頭、福山幹事長は「ただいま予算が参院で成立しました。非常に遺憾に思っています。(新型コロナウイルス感染症の)感染のリバウンド、変異株の広がりが懸念される中、また国民生活、事業者の経営の厳しさが日々増している中で、この予算には予備費以外、コロナ対策がほとんどありません。考えられない予算となっています。到底、賛成できるものではありません」と述べました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:予算委員会では総務省の接待問題に端を発し、東北新社の外資規制違反、行政と利害関係のある会社との関係が問題になったことをどのように受け止めたか、また今後の後半国会ではどのように取り組むか

福山:総務省の外資規制違反を見過ごしていた問題、そしてそこに菅総理の長男がかかわっていたかもしれない、接待はしていたという疑惑。そして、聞かれたことに答えず、文書は出さず、挙句の果てには「記憶にない」の連発。こんな審議は到底認められるものではない。法案の不備も各省庁で頻発をしておりますし、政府の緩み、驕り、本当に誠実性のなさが明らかになった審議だというふうに思います。非常に遺憾に思います。

Q:今年は選挙イヤー。解散総選挙も視野に入る中で、後半国会ではどのような法案に焦点を当てていくか

福山:デジタル庁法案は、当然、今後もしっかり審議していかなければいけないと考えますし、それぞれの省庁から出ている法案については、われわれとしては今の政府をしっかりただし、内容によってはチェックをしていかなければいけないと考えています。解散総選挙はいつあってもおかしくない状況ですので、常在戦場という思いで臨んで行きたいと考えますし、まずは足元の2つの補欠選挙と広島の再選挙に関しては、長野以外は自民党の不祥事でやらなければいけなくなった選挙ですから、われわれとしては3つの選挙区に良い候補者を立てられましたので、それぞれ必勝を期していきたいと考えています。

Q:新型コロナウイルス感染症対策として政府に何を求めるか

福山:昨日も私は、リバウンドの危機が迫っているのではないか、強化をしてくれと(参院予算委員会で)質問を総理にしましたけれども、総理からは、私はあまり危機感が伝わって来なかった。既存の方針の繰り返しでした。非常に残念に思います。再度緊急事態宣言が出されるような事態になれば、当然、菅内閣の責任は問われてくると考えます。相も変わらず、ワクチンの接種率は世界でも、本当に最下位の方です。このような状況が続くのは政府の機能が著しく低下をしている証だと思いますし、このことについては国民生活が厳しくなっていることを含めて、引き続きわれわれとしては、われわれの考える国民生活を支援していくための給付措置、さらには検査、医療機関の体制充実等も含めて、対案とさらにはチェックをしっかり役割として果たしていきたいと考えます。

Q:政府が提出した安全保障上の重要な土地の利用を規制する法案について先日、党幹部が反対を表明されたと報じられたが、立憲民主党として、今後どのように党内で議論していくのか。野党の足並みは揃うのか

福山:それぞれの法案について、各党それぞれの判断があっていいと思っていますので、無理やり足並みを揃える必要はそれぞれの法案についてないと思います。それぞれの政党の判断だと思います。この法案については、法案出されたところですので、部会でしっかりと内容について精査をし、賛否を決めて行くプロセスに入ると思います。

Q:幹事長は常々、政府・政権のスキャンダルについて、やりたくてやっている訳ではないという趣旨の発言をされているが、参院予算委の審議が総務省の接待問題ばかりだったと言われることについてどう思うか

福山:予算審議の内容をつぶさにご覧になられてそういう発言をされているのかどうかだと思います。これは報道の皆さんもそうですが、報道の皆さんが総務省の問題のことばかりをやれば(報じれば)、国民からはそう映ることもあり得ると思います。予算委員会では、皆さんが一番よくご存じだと思いますが、総務省のことばかりやっているわけではありません。昨日の私の審議も総務省のことばかりどころか、新型コロナウイルスのワクチンの問題についてもやらせていただきました。ですから、そういう批判があることについては国会の審議の状況をしっかり見て、あまりステレオタイプな、今までの常套文句を並べているような、そういう政治の見方は、そろそろ私は転換をするべきだと思います。

Q:予算審議が終わって、憲法審査会で国民投票法を成立させたいという話がある。前国会に幹事長間で、通常国会では何らかの結果を出すと合意していたが、憲法審査会での審議についてどう考えるか

福山:まずは、菅総理のご長男を参考人で呼んできてから言ってほしいと思うし、文書も出してから言ってもらいたいと思います。まず、政府は自分たちがやるべきことをやってから、そういう発言をしていただきたいと思います。

Q:重要土地法案について、自衛隊の基地など安全保障上重要な施設周辺の土地の売買について事前届出を求める内容になっていて、国民の中では一部懸念する声もあるし、公明党からは経済活動に支障になるのではないかとの声もある。そのことについてどう考えるか

福山:原発をはじめ重要施設についての安全保障上の警備を強めることは必要です。私は東日本大震災の時に自衛隊が10万人を東北に派遣をしていただいた時に、官邸で危機管理官や警察に、特に日本海側の原発に対する警備をより強くしてほしいと実はお願いをして、対応をした経験があります。今回、東電が核防護に対して、あれほど杜撰な状況だったことが明らかになりました。私はまず、現実問題の自衛隊の施設や原発がどの程度の警備状況になっているのかをチェックする方が優先だと思います。周辺の土地の売買については、私は法案の中身を、これから精査しなければならないので無責任なことは言えませんが、そのことをやったことで、たとえば売買できないことによってその周辺の土地の地価が下落をします。それは、その周辺の住民の方や資産を持っている方からすれば、非常に大きな不利益を被るものです。一方で、そこに何らかの外資が入ったりすることなのか、それはどういうものを想定して規制をしようとしているのかについても法案の中身を確認をしていかなければいけません。つまり確認しなければいけないことは、きっちりあるので、あんまり最初から賛否、賛否などという話ではなくて、どういう中身で、どういうふうに国民経済に影響し、それでどういう形の安全保障上の担保ができるのかを政府から説明をしてもらわなければいけないと考えています。これから審議の中でしっかりと詰めていかなければいけない。賛否はそれからでも十分だと私は考えています。

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