立憲民主党は14日、アベノミクス検証委員会(委員長:江田憲司代表代行)の第1回会合を開きました。立教大学の金子勝教授から「政権交代のための経済政策――アベノミクスは何をもたらしたか」と題する講演を聞いた後、アベノミクスの分析、衆院選に向け経済政策のあり方について議論しました。

 新たに委員会を立ち上げた趣旨について枝野幸男代表は、「自民党の総裁選がおこなわれている。9年近くに及んだアベノミクスをどう評価し、これに対してどう対応するのかということが、この国のこれからの政治、経済、社会のあり方に大変大きい」と指摘。立憲民主党もすでに経済政策を取りまとめているが、「短時間で改めて整理をし直して、国民の皆さんにしっかりと訴えていきたい」と述べました。

 委員長に就いた江田憲司代表代行は、「代表が述べた通りの趣旨でアベノミクス検証に改めて焦点を当て、その評価をするための委員会である。アベノミクスは、端的に言えば、お金持ちをさらにお金持ちにし、強い者をさらに強くしただけ。期待されたトリクルダウンも起きず、逆に格差や貧困が広がった。お給料を見れば、この20年間上がるどころが下がっている。これは先進国で唯一、日本だけである。結果GDPの半分以上を占める消費が伸びない。これが日本経済混迷の最大要因である。これにしっかりメスを入れたわが党の経済政策を出すつもりだが、その前提として総裁選でも非常に焦点になるであろうアベノミクスに対する評価をきっちり決めて、来週には枝野代表に報告をしたい」との考えを示しました。

 金子教授は、安倍政権から菅政権へと継承されている「アベノミクス」に関して、成長戦略の破たん、コロナ対策失敗がもたらした医療崩壊や実質GDP1.9%(2021年4-6月期)の低成長率、非正規雇用者や経営難にある中小事業者など本当に救済が必要な人に届いていない状態、急速な出口にできない財政金融政策――など複合的な問題をもたらしていると指摘。いわゆる「三本の矢」が機能していないどころか、(1)無責任体制による産業衰退(2)円安と賃下げによる内需不足(3)財政金融政策拡大による出口のないネズミ講――と、3つの悪循環構造」に陥っていると分析しました。

 会合後、記者団の取材に応じた江田委員長は、総裁選候補者の経済政策に注視しているのかと問われて「もちろんだ。(立憲民主党は)政権交代を目指そうという政党であり、経済政策はその大きな柱の1つ。(総裁選候補の経済政策を)しっかり見極め、わが党としてのそれに対峙する経済政策をしっかり出していく。自民党ではできない、違いがわかる経済政策を打ち出していく」と力を込めました。

https://cdp-japan.jp/news/20210915_2083