枝野幸男代表は18日、参院広島県選挙区再選挙で無所属の新人、宮口はるこ候補の応援のために訪れた呉市で記者団の取材に応じました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:広島に入ったのは何カ所目で、今回呉を選ばれた理由は

枝野:この選挙では、先週末に続き2回目です。先週は広島市でしたので、それ以外のところで、多くの皆さんにお集まりいただける場所ということで、地元の方で調整をしていただきました。

Q:人口規模から考えれば福山かなと思うのですが

枝野:昨日、福山市には福山幹事長が。たぶん福山幹事長が福山市に行きたかったんだと思います。

Q:呉は日本製鉄の高炉休止・閉鎖、3300人の雇用が失われるという課題に直面していますが、そういった地方経済の衰退については

枝野:日本の経済運営がここ30年くらい、いわゆる新自由主義的な方向に偏りすぎてきた。そのことが日本をリードしてきた産業にまで大きな影響を与えている、その象徴だと思っています。
 今日も、(街頭演説の)持ち時間がもうちょっとあれば、そういう話もしたかったです。

Q:大規模買収事件の説明責任について、ラストサンデーにもかかわらず菅総理は広島入りをせず、一度も広島に来ていない状況です。買収事件の説明責任から避けているようにも感じるが

枝野:一つには、ご当人たちが国会で何も説明せずに、結局議員辞職をしている。したがって議員辞職をしたからといって、終わりではまったくない。ご当人たちには、しっかりと説明をしていただかなくてはいけない。それからもう一つは、自由民主党として、特に1億5千万円が自民党から出ているお金であると裁判等でも出てきているわけです。それについての説明が国会で問いただしても答えていない。結局この問題に対する反省がないと受け止められても仕方がない状況だと思っています。

Q:投開票まであと1週間。現状の選挙の受け止めはいかがでしょうか

枝野:率直に言って、候補者が決まるのが遅れて、出遅れたと思っているのですが、「結集ひろしま」に集まっていただいている皆さんの力と、それから本当にいい候補者に恵まれたので、相手の背中が見えて、手がかかりかけているというのが、いまの率直な状況だと思っています。
 残り1週間で、なんとか追いついて追い越したい。そういう戦いだと思っています。

Q:演説の中でも、広島の他、長野、北海道という名前があがっていましたが、広島の再選挙の位置付けは

枝野:候補者も新人で、決定も遅かったということがありましたので、3つの中では一番厳しい選挙であると思っていました。
 それが相手の背中が見えるところまでは来ることが出来たということは、地元の仲間の皆さん、応援団の皆さんのおかげだと思っていますが、選挙は善戦をしたというのでは意味はなく、勝たなくてはいけない。本当にここからの1週間が勝負どころだと思っています。
 最後の1週間が勝負どころに出来る状況に来れた事については、本当に地元の結集ひろしま、連合の皆さん、そして候補者に感謝をしています。でも、それだけに勝ちたいです。

Q:コロナ禍の選挙戦ということで、なかなか通常の選挙とは違う部分、難しい点もあると思いますが、枝野代表としてコロナ禍の選挙戦をどのように受け止めているか

枝野:これは、どの陣営も条件は一緒ですので、とにかく感染拡大防止に最大の配慮をしながらやってくしかないと思っています。
 例えば街頭演説でも、もっと集めようと思えば、集まっていただくこともできたと思うし、いわゆるハコ、建物の中の屋内集会は、開催自体も困難だし、開催するにしても定員の半分とか、そういう規模でやらないといけないわけですから、この制約は大変大きいとは思っています。ただ、われわれだけ厳しいのかというとそういうわけではないですから、そこはあまり考えすぎても仕方がない。できることを最大限やるということだと思います。

Q:今日で2回目。広島入られて、また次の土曜日がありますが、また広島に入られる予定は

枝野:正直に言って、今週緊急事態宣言は出すべきではないかと言っていますし、出るのではないかという見通しもあります。そうした状況を見ながら。それから他の2つ補選の状況を見ながら判断していきたい。週の半ばぐらいに判断することになると思います。

Q:今回、冒頭で投票に行こうという呼び掛けがありましたが、それを一番最初に訴えたお気持ちは、どういう理由からでしょうか

枝野:潜在的に、この買収事件の問題にしても、コロナ対策にしても、おかしいと思っている方が圧倒的マジョリティーだと確信しています。問題は、そうした皆さんが投票に足を運んでいただけるかどうかが、こちらサイドの最大の勝負どころだと思っています。
 思いを1票に託さないと、政治に届かないんだということを候補者も含めて、これから1週間、陣営で繰り返し訴えていきたいと思います。

Q:北海道、長野、広島と、3つ選挙全体の情勢を踏まえて、これまでの戦いを振り返り、残り1週間どのような戦いを展開されていきたいか、抱負も含めてお願いします

枝野:それぞれ選挙になった理由も違いますし、選挙も衆参で違っているとか、地域の事情も違うので、ただそれぞれいろいろな地域の事情に合わせて、いろいろな困難を乗り越えて、ここまではしっかりと戦ってきてくれていると思っています。
 ただ、本当にここからの1週間が、大きな分かれ目になる選挙だと思っています。いま追いかけている広島もそうですし、他の2つも含めて、最後まで、特に感染症対策についての国民の皆さんの不満と不安は、日に日に大きくなっていると感じますので、われわれは1年に渡り、もう一つの選択肢を示してきているんだと。そのことをきちんと伝えていくことで、そうした声を受け止めて、勝ち抜きたいと思っています。

Q:河野大臣がワクチンの供給をめぐって、9月末まで16歳以上の全員分の確保の見通しを示した。総理訪米のある意味での成果というような発信もあるやに思いますが、どのように評価なさっているか。9月末という時期も含めてお考えをお聞かせください

枝野:この間、河野大臣や政府から発信された見通しが、ことごとく全部事後に覆っています。従って、一度9月末とおっしゃっても、そうなるんだろうなぁと。ストレートに受け取ることはできないという、残念ながら状況だと思っています。
 もし今度こそ正しい発信なんだと言うならば、それなりの根拠を示していただきたいと思いますし、またこの間、見通しが全部間違えていたことで、自治体や医師会などに大変なご迷惑をかけています。
 本当にそれが正しい情報であるならば、今度こそ自治体やあるいは実際の接種にあたっていただく医療関係者の皆さんが混乱しないように、速やかに確定的な情報を各自治体に伝える。それがあって初めてコメントに値する発信だと思っています。

Q:相手陣営が、買収されたお金をもらった議員が選挙に関わるのか関わらないのか、はっきりさせていないと、郷原弁護士の質問状に答えていないのですが、こういう姿勢についてはどう思うか

枝野:それは広島の有権者がご判断をされると思います。

Q:日米首脳会談を終えて、菅総理が帰国の途についていますが、台湾海峡を明記するなど成果を強調しています。受け止めを

枝野:台湾海峡の平和と安定性が重要であるということを約半世紀ぶりに日米間で明確にしたということは一定の評価をすべき成果だと受け止めています。
 ただそれ以外については、従来からの話をなぞり書きしたようなもので、台湾海峡の件を含めて2プラス2で済んでいる話をなぜこの国内の感染状況が大変判断を要する難しい時期に、訪米しなければならなかったのか、ちょっと意味が分からない訪米になっている。

Q:日米首脳会談に関連して、これに中国は猛反発をしているが、これについてどのようにお考えか

枝野:それは中国が猛反発されたとしても、実際に日米首脳会談で共有をされた香港やウイグルなどの問題、それから太平洋地域、ことさら台湾海峡を中心として中国の膨張姿勢に対しては、日本として毅然な姿勢や態度をとるのは当然のことだと思っています。

Q:新型コロナウイルス感染症のまん延防止について、10都府県に「まん延防止等重点措置」がいま適用されている状況です。一方で東京や大阪の感染者数の伸びはとどまるところを知らないですが、これについてどのように考え、政府としてどのような施策を打っていくべきだ思いますか

枝野:私は、国会の議事録にも明確に残っております通り、そもそも解除が時期尚早で、すぐにリバウンドすると申し上げてきた。その通りではないかと。そもそも解除すべきではなかったし、一刻も早くまた宣言をするべきであるし、特に検査体制の充実をもっとトップダウンでやらなければいけない。
 都道府県任せ、あるいは厚生労働省任せでは結局この1年間の繰り返しであると。政府をあげて、国をあげて、総力をあげて、変異株の検査や遺伝子情報のゲノム解析を含めて、総力をあげてやるという姿勢、あるいは体制を作らなければならないと強く感じています。

Q:関連して、早急に宣言をという話だと思いますが、そのようなタイミングで菅総理がいないということが、判断のどのような遅れにつながっているとお考えでしょうか

枝野:本当に総理が実際に行かなければいけないような案件があるならば――例えばマルチの国際会議で各国首脳が集まるなど、というケースならともかく、台湾海峡のことは評価しますが、これだって2プラス2で基本的なことはできるはずなので、なぜこの感染状況で、アメリカに行ったのか本当に意味が分からない。

Q:宣言の範囲はどのようにお考えでしょうか

枝野:実はここまで来ると、緊急事態宣言を出す出さないということ以上に、病床の確保や検査体制の強化について、自治体任せ、厚労省任せでない、国家をあげた強い指導力による体制強化がなければ、本当に繰り返しだと。
 そのことを、やる気がないならば、1日も早く政権を渡していただきたい。こちらには準備があります。

https://cdp-japan.jp/news/20210418_1202